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本棚「虐待から子どもを守る!——教師・保育者が必ず知っておきたいこと」加藤 尚子 著(小学館、1,200円+税)



皆さんは虐待というと、自分とは関わりのない遠いところで起きていることという印象をお持ちではないでしょうか。しかし平成27年に児童相談所が対応した児童虐待の件数は全国の18歳以下の子供のおよそ200人に1人。学校でいえば6クラスから7クラスに1人の割合で虐待を受けています。学校にとって虐待は決して「特別なこと」ではないのです。

本書は児童虐待問題の専門家である加藤先生が教師や保育者が虐待をどう発見するか、発見したらどう関わればいいのかを具体的に示したものです。とても印象に残ったのは、虐待という理不尽な環境を生きてきた子供達は、物事を歪めて受け取る傾向があるということ。したがって「この人からは傷つけられない」と子供が実感できる穏やかで根気強い関わりが大切だという指摘です。子供の心理的被害が深刻である場合ほど、複数の大人がチームを組んで取り組むべきとの指摘も重要です。

児童虐待は子供の心に一生続く大きな傷を負わせます。全ての教師・保育者に必携の一冊です。

諸富 祥彦・文学部教授
(著者は文学部准教授)