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本棚『いま、哲学が始まる。—— 明大文学部からの挑戦』池田 喬、垣内 景子、合田 正人、坂本 邦暢、志野 好伸 著 明治大学出版会 2,400円+税



本書は本年4月、本学文学部に哲学専攻が開設されたのに合わせて刊行されたもので、著者は哲学専攻の専任教員5人である。序章と「いま、なぜ、哲学か」をめぐる5人の対談があり、各人が自らの関心を披露する5つの章がそれに続く。

明治大学に初めて哲学専攻が作られ、新しいことが始まるという興奮が伝わってくる。受験生世代を意識し、5人が、長年の講義で練られたと思われるわかり易い言葉で語り、また書いているのが面白い。それに5人の組み合わせが絶妙である。

哲学専攻はなかったけれども、本学に哲学の伝統がなかったわけではない。小林秀雄や唐木順三は専任教員であった。他にも大切な仕事をした人は多い。そのことが取り上げられているのも興味深い。

哲学の現況と明治大学に関心を寄せる人にお勧めしたい。

ところで、10年前の開設以来、国際日本学部にも日本の哲学を勉強する場所がある。担当教員の私としては、今後、哲学専攻の学生・教員の皆さんにさまざまな形での交流をお願いできればと期待している。
美濃部 仁・国際日本学部教授
(著者はいずれも文学部専任教員)