Go Forward

リバティアカデミー「長崎潜伏キリシタンの信仰世界」を開催



明治大学の生涯学習機関・リバティアカデミーは10月27日、オープン講座「長崎潜伏キリシタンの信仰世界—伝来したテキスト(教理書)を読み解く—」(共催:杉並区教育委員会)を和泉キャンパス・メディア棟で開催。講師は、近世日本史を専門とする文学部・清水有子専任講師が務めた。

禁教時代において、既存の社会・宗教と共生しつつ、密かに信仰を継続した潜伏キリシタンを物語る稀有な物証として、本年世界遺産(文化遺産)に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。本講座では最近の研究成果と歴史史料の検討を踏まえながら、潜伏キリシタンがどのような存在であったかという問題に迫る内容となった。

清水講師は、まず潜伏キリシタンの定義やかくれキリシタンの系統、潜伏信仰をめぐる論争などについて説明し、続いて当時伝来した3つの教理書『こんちりさんのりやく』『ルソンのオラショ』『天地始之事』を読み解きながら禁教下の信徒の信仰活動について解説した。また、浦上潜伏キリシタンのその後に関する資料を示し、まとめとして長崎に伝来した教理書が、潜伏信徒の間にカトリック共同体の一構成員であるとの自己意識を継続させキリスト教解禁へ影響を及ぼした歴史的意義を指摘した。

会場は多くの人で埋め尽くされ、熱心に耳を傾ける姿が多数見受けられた。世界遺産としての注目度はもちろん、「潜伏キリシタン」の歴史的意義への興味・関心の高さをうかがわせる講座となった。