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杉原特任教授の錯覚作品が台湾・故宮博物院に展示——関連イベントとして国立台湾大など現地で講演も

杉原特任教授と故宮博物院に展示中の錯覚作品 陳其南故宮博物院長(左)から感謝状を受けた 講演終了後にも来場者から多数質問を受けた

明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)所長の杉原厚吉研究・知財戦略機構特任教授の錯覚研究作品が、世界四大博物館とも称される台湾・国立故宮博物院の特別展「うつつとまぼろしの間で—故宮所蔵戦国時代から漢代の玉器」に展示されることとなり、その関連イベントが10月26日・27日、現地台湾で開催された。

この特別展は、戦国時代から漢代を中心に制作された錯視芸術「玉器」214点と、科学的視点から制作された杉原特任教授の錯視研究作品35点が展示され、2千年もの隔たりのある錯視芸術作品のそれぞれの視覚効果の一面を、錯覚という視点から観覧できる。杉原教授は今春にこの展示の依頼を受け、台湾のみならず世界に向けて錯覚研究の成果を発信することとなった。

10月26日、故宮博物院を訪れた杉原特任教授は、故宮・陳其南院長と面会。杉原特任教授は「自身の研究が古代玉器と関わりがあったとは思いがけないこと。数学の理論を用いて古代玉器の視覚効果を探る契機を与えてくれたように感じる」と喜びを伝えるなど、和やかな雰囲気の中、懇談が行われた。杉原特任教授は前週に「世界錯覚コンテスト2018」で3度目の最優秀賞に輝いており、その日は台湾の国立ラジオ局や現地メディアの取材を受けるなど、注目の高さをうかがわせた。

翌27日には、同院主催の講演会が「本当のことを知っても直らない不可能立体錯視」をテーマに行われ、不可能立体や不可能モーション立体などの研究成果を網羅的かつ分かりやすく紹介した。

午後には、国立台湾大学・擬態科学兼物理学館に会場を移し、錯覚に関する国際シンポジウムの基調講演に登壇。「不可能立体の進化」について錯覚研究の各世代の成果や基本方程式などをもとに解説したほか、パネルディスカッションが行われ、4時間半に及ぶ同シンポジウムは大盛況のうちに閉幕。今後の「錯視・錯覚」研究における学術交流に期待が高まるシンポジウムとなった。

台湾・国立故宮博物院 特別展

「うつつとまぼろしの間で ─ 故宮所蔵戦国時代から漢代の玉器」
展覧期間 2018年9月20日~2020年2月23日
会  場 北部院区 第一展覧エリア 303, 300
 特設サイト 日本語版