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リバティアカデミー・土屋学長が大岡信とことばの力を語る

大岡氏の魅力を語る土屋学長

明治大学の生涯教育機関・リバティアカデミーは11月17日、詩人・大岡信氏の功績を後世に伝えることを目的としたZ会寄付講座「大岡信のことばの力」を駿河台キャンパス・グローバルフロントで開催した。

大岡氏は、詩と批評を中心とした多様な活動を行い、朝日新聞連載の「折々のうた」をはじめ、多数の作品を世に輩出。また、明治大学でも1965年から20年以上にわたり教鞭を執るなど幅広く活躍し、2017年4月、86歳の生涯に幕を閉じた。

今回の講師は、大岡氏の教え子でもあった土屋恵一郎学長が担当。同氏から譲り受けたという着物を身にまとい登壇した。学生と教員という立場だった当時は、全共闘運動が盛んであったことなどエピソードを振り返りながら、バリケードを張る学生に対して大岡氏が発した『君たちが世界のすべてを否定するならば、私は世界のすべてを肯定する』という言葉を紹介。「あらゆるものに存在価値を見いだす姿勢は、現代でいう多様性を認めるということに通じている」と大岡氏の思想の一端を披露した。

さらに、詩集『記憶と現在』や評論『うたげと孤心』などの作品、複数の詩人によって共創する連詩など創作活動を取り上げながら、「言葉でできる可能性があるいろいろなものをされた方」と解説。さらに、文芸の世界に身を置きながら、美術や音楽に関する仕事に携わるなど幅広く活動した同氏について、「常にウイット(機知)を利かせる精神があった。それが多くの人に受け入れられる要因になったのではないか」と評し、締めくくった。