夏石番矢(乾昌幸)版「山頭火選句集」並びに「日記・随筆抄」である。山頭火の俳句を編纂した句集は多く出版されている。山頭火にも自選句集『草木塔』がある。夏石氏は、実作者の立場から、山頭火の全句集から千句を選び出し、年代順にし、またその年の句の配列については句作の順序を推測して行っている。夏石氏の選んだ句は『草木塔』と重なるものは少ない。むしろ、日記の中に眠っていた作品に重きを置いているようである。その選ばれた千句から、山頭火の自由律俳句の成立過程や俳人としての山頭火の実体が読み取れる。
日記からは、俳句から表出される山頭火や、学校で習った放浪の俳人山頭火のイメージは感じられない。彼のどろどろとした生活、そんな彼を援助する友人達のあたたかさ。読むのが苦しくなる。慰めはそこに記されている俳句。日記を読んでいくと、夏石氏がそれらの記事を選んだ理由が朧気ながら見えてくる。句についても、全句集から夏石氏がどのような基準で選んだのか考えるのも、本書の楽しみである。
日記からは、俳句から表出される山頭火や、学校で習った放浪の俳人山頭火のイメージは感じられない。彼のどろどろとした生活、そんな彼を援助する友人達のあたたかさ。読むのが苦しくなる。慰めはそこに記されている俳句。日記を読んでいくと、夏石氏がそれらの記事を選んだ理由が朧気ながら見えてくる。句についても、全句集から夏石氏がどのような基準で選んだのか考えるのも、本書の楽しみである。
田島 優・法学部教授
(編書は法学部教授)
(編書は法学部教授)