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「パレスチナ難民支援と日本:今我々にできること」クレヘンビュールUNRWA事務局長が講演

難民支援の重要性を訴えるクレヘンビュール事務局長 講演前には土屋恵一郎学長とも懇談

パレスチナ難民に教育や医療の支援を行う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のピエール・クレヘンビュール事務局長が12月4日、「激動する中東:未曽有の危機と向き合うUNRWA」をテーマに駿河台キャンパス・グローバルホールで講演した。

1948年の第一次中東戦争、イスラエルの建国により故郷を追われたパレスチナ難民。その数は、70年が経過した現在でも世代を越え540万人に上っている。1949年に設立されたUNRWAは、日本を含む援助国の任意の拠出金を原資として、難民の保護と救済のために教育や保健医療、社会福祉などの基礎的なサービスを提供。しかし、2018年、トランプ政権の方針転換によりアメリカからの資金援助停止が発表され、財政危機に見舞われている。

クレヘンビュール事務局長は、日本政府からの長きにわたる支援に謝意を示した上で、アメリカ政府の対応や、政治的問題により難民を支援できなくなる状況を批判。さらに、難民一人ひとりの尊厳が守られるべきであること、身近な問題として捉えるべきであることなどを訴え、「UNRWAが50年先もあってはならない。すべてが豊富になるための活動を決して諦めず、緊張感をもってやっていきたい」と締めくくった。

続いて行われたパネルディスカッションでは、NHK解説委員室解説主幹の出川展恒氏を進行役として、一般社団法人ソーシャル・イノベーション・ワークス代表理事の上川路文哉氏、ICEJ Inc.代表の山本真希氏、独立行政法人国際協力機構参事役の阿部俊哉氏が登壇し、それぞれがパレスチナで行う取り組みを紹介。国際機関、行政、企業、民間の視点から議論を深めた。

明治大学では、2010年からの「国連アカデミック・インパクト」の参加に続いて、2011年から難民高等教育プログラムにおいて14人の難民学生を受け入れている。その他、難民映画祭の実施や「国際協力人材育成プログラム」の取り組みなど、国際的な課題を解決できる人材の育成を行っている。