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本棚『貿易入門 世界と日本が見えてくる』小林 尚朗/篠原 敏彦/所 康弘 編 大月書店、2,300円+税



米トランプ政権の誕生で、世界の貿易は一変した。中国や日本や欧州諸国はアメリカに膨大な輸出ばかりして、日中欧はあまり輸入をしない。だからアメリカに貿易赤字が溜まり、米国内の産業は疲弊していると声高に叫んでいる。

叫ぶだけならまだしも、輸入を減らすため高額の関税をかけている。おかげで、世界経済が変調をきたしている。

世界は国際協調の下、自由貿易を推進してきた。それは本書の第2章で詳細に理論的に検討されているように、それぞれの国にメリットがあるからだ。

本書は、貿易の基礎、戦後貿易の展開、現代貿易の課題の三部構成となっており、貿易理論、貿易の歴史、現代の貿易の諸課題について、理論、貿易実務、歴史と現状の基本を平易かつ包括的に明らかにしている。

貿易なくして今日の経済は成り立たないという基本的視角から、本書はテキストの体裁をとっている。とはいえ、世界的に保護貿易主義が台頭する中、貿易を専門的見地からも分析した貴重な文献と評価することができる。

相沢 幸悦・商学部兼任講師
(編者はいずれも商学部専任教員)