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明大びと「限られた時間を全力で生きようと決めた」

歌手 小澤 綾子さん (2006年経営学部卒業)



真っ黒に日焼けするまで外で遊ぶ快活な子どもだったが、小学校高学年の頃から思うように体が動かない場面が増えた。徒競走は年々追いつけなくなり、ぎこちない歩き方をからかわれて、家族にも見つからないよう、夜中布団の中でこっそり泣いたこともあった。

明治大学在学中に、筋力が低下する進行性の難病「筋ジストロフィー」と診断された。将来を悲観し自暴自棄になったが、反骨心をエネルギーに変え、ゼミや留学プログラムへの参加など積極的に大学生活に取り組んだ。「いつの間にか前向きな気持ちに」変わっていた。

その後、インターネットを通じて同じ病気で病院のベッドで寝たきりの友人ができた。メールでの交流が続き、自作曲を歌ってほしいと持ち掛けられたが、実現する前にその友人は亡くなってしまった。「彼が残してくれた曲を多くの人に知ってもらいたい」、クラウドファンディングで資金を調達し、約2年をかけて、託された楽曲『嬉し涙が止まらない』をCDにすることができた。

現在は、システム関連企業に勤める一方で、イベント・学校・病院などで講演やライブを通じて、病気・障がいの認知活動を行っている。「元気でいられる時間が限られているなら、今を全力で楽しく生きていこうと決めた」——生きる希望と喜びに満ちた、優しく力強い歌声を全国各地に届けている。

〈小澤さんのインタビューは、広報誌「明治」第81号(2019年1月15日発行)でご覧いただけます〉