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母なる「明治」へ惜別と感謝

調査役 伊能 秀明

顧みれば本学は、リバティタワー新築、新学部や中野新キャンパスの開設など躍進を続け、教職員の教育・研究事業や学生・校友の多彩な活躍は、メディアで華々しく報道されている。

昨今、雇用機会が多様化して既卒入職者も増えたと聞く。私もそうした一人であるが、個人的には「ヨーロッパ拷問展」などの開催や生涯学習講座の運営など、得難い経験を沢山積ませて頂いたことに気づく。いずれも諸先輩のお導きや同僚の協力、個性的な資料との邂逅の賜物である。優れた着眼をもつ先人を輩出し、独自の学術資源を集積してきた本学の懐の深さを再認識して畏敬の念がいや増す。

他方で、合理性やスピード感が偏重されるあまり、不便で古臭いモノや得にならないことには目が向かないご時世でもある。世のため人のために汗をかくことを厭わず、「権利自由」「独立自治」の理念を自得した若人をより多く送り出すことこそ、「吾等が母校」の永遠の理想であると思う。

「霊峰不二」のごとく揺るぎない経営戦略と「白雲なびく駿河台」のように視界明瞭なビジョンのもと、最高学府の使命と価値の実現に向かって教職協働や人材活用など幾多のミッションの着実な前進を祈り、長らくご厚誼ご鞭撻を賜った皆様に深甚なる感謝の誠を捧げて惜別の辞としたい。