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ズームアップ 第584回「挑み続けたラガーマン、新たな舞台へ」

ラグビー部 渡邉 弐貴



今年1月、22年ぶりに全国大学選手権優勝を果たしたラグビー部。そのチームにシーズン途中までレギュラーとして戦いながら、最後はピッチの外で歓喜を見届けた一人の選手がいる。

高校日本代表候補の実績を引っ提げ、明治の門をたたいた渡邉弐貴(営4=国学院栃木)。輝かしい経歴を持っていながら、大学ではなかなか日の目を見ることはなかった。昨年度は梶村祐介(2018年政経卒・現サントリーサンゴリアス)、鶴田馨(2018年営卒・現NTTドコモレッドハリケーンズ)の2人が不動のセンターとして君臨。渡邉はジュニアチームを主戦場に経験を積んでいた。今季に入ると持ち味のタックルとアタックに磨きをかけ、春からAチームの試合に出場。秋の対抗戦・帝京大戦でも先制トライを挙げるなど、これまでにない充実したシーズンを送ってきた。

しかし、レギュラーの地位を射止めつつあった渡邉を悲劇が襲う。対抗戦最終戦・早稲田戦で脳しんとうを発症。選手権の出場は厳しいものになった。周囲からは聞こえてきたのは「もったいないね」という同情の声。それでも、渡邉は「ケガも実力のうち」と割り切った。練習や試合中のウォーターなどでサポートに回り、チームは見事に日本一を奪還。「チームとして目標を達成できたのはすごくうれしい」。渡邉は晴れやかな表情でそう語った。

卒業後はトップリーグHonda HEATでラグビーを続ける。「同じポジションの選手たちに負けないように」。明治で培った経験を無駄にはしない。社会人の舞台でも歩み続けていく。
(わたなべ・そうき 営4 国学院栃木 175cm9kg)
文/清水 康佑(商2)写真/藤里 陽(政経2)