明治大学への入学おめでとう。これからの四年間は、君たちが世界の中で生きることができる四年間です。それは同時に、君たちが21世紀を生きるための準備をする四年間です。21世紀は今後どんな時代になるのか。その予測は世の中に溢れています。予測を商売にして、いい加減な未来予測をする者もいれば、ありきたりなAI知識を振りかざして、人間を超える人工知能への不安をまき散らす者もいます。人工知能は、ビッグデータを基にした統計結果を示し予測することはできても、最後に判断するのは人間です。統計で最も信頼できるのは、人口統計です。少子化と人口減少をはっきりと予測することはできます。そのあとに、どのような政策を行い、社会をコントロールするかは、人間自身が判断しなければなりません。ビッグデータを基に消費動向を示し、市場の動きを見ることはできても、どのような商品を作り、どんなデザインを考え、イメージを作るかは人間がやるしかないのです。そのイメージを基に3Dプリンターで「もの」を作ることはできても、そこに新しさをもたらし、デザインをするのは、人間です。
どのような時代が来るのかは、ビッグデータで予測できるかもしれません。しかし、どんな時代を築くかは、君たちが考え決めることなのです。自然環境の破壊を止め、この人類の文明を守り、持続可能な成長を遂げていくために、何が必要かはわかっています。しかし、そのために何をするかは、人間の判断によって変わります。トランプ政権は、環境保護のためのパリ協定から離脱して、石油資源に依存した文明からの離脱を拒否しました。地球温暖化などはフィクションだとトランプ氏は言っています。このまま温暖化が進めば、地球にどんな破滅的な事態が起こるかは、ほぼ予想ができます。それを信じないトランプ氏を大統領にしたのはアメリカ国民なのです。AIは無力です。むしろ、フェイスブックやツイッターといった、インターネット・コミニケーションが、人々の判断を惑わし、フェイクニュースによって、社会に混乱をもたらしています。もう一度、社会の複雑な現実を見回して、何が問題であるのかを考えなければなりません。
これまでのものの考え方を脱して、新しい価値や社会の姿を想像するのは難しいことです。既得権益を持つ者からすれば、新しさは、既得権益を破壊するものに映るからです。ですが、既得権益を壊すには、その新しさが必要です。世界と社会の課題を解決するには、新しさが必要なのです。その新しさをイノベーションと言います。革新という意味です。この言葉を作り、広めた経営学者のピーター・ドラッカーにとって、イノベーションとは、新しい結合という意味でした。ドラッカーにそれを教えたのは、シュンペーターというウィーンの経済学者です。それは、発見でもなく発明でもなく、今あるものの新しい結合の姿を考えることです。例えば、ウーバーという自動車を利用した新しいシステムを考えてみてください。そこにあるのは、どれもが既にあるレディ・メード(既製品)なものばかりです。自動車、コンピューター、その新しい結合の姿がウーバーなのです。また、人類学者のレヴィ・ストロースは、未開の人々の生活と思考を、ブリコラージュであると言いました。フランス語で日曜大工という意味です。手元にあるありきたりなものを使って、生活の問題を解決する。何か新しいものを発見するのではありません。無からの創造は、神様の仕事です。人間の仕事は、今あるものの中に、新しい結合を発見することなのです。IoTといわれる、インターネットとものの社会を結合することも、まさしくブリコラージュです。この新しい結合を発見するのは、人間の仕事です。一つの専門の中に留まるのではなく、自分の固定観念を超えて、新しい結合のあり方に気付くことが求められています。
大学で君たちが学ぶのは、大勢に順応することではなく、既成の固定観念を壊して、新しいフィールドに飛び込んでいくことです。そのためには、世界を知らなければなりません。新しさへの感覚を研ぎ澄ますことが必要です。人の話を聞かなければなりません。世界にある新しい言葉の中で、日本語で考えていたことが、どのように変化するかを知らなければなりません。大学で改めて英語を学び、会話力を磨き、ドイツ語やフランス語を学ぶのは、この新しさへの感覚を磨くためです。アジアで仕事をするためには、英語は必須です。これからの21世紀はアフリカの時代になります。それは、フランス語の時代が来るということかもしれません。今は必要ではないと思っているフランス語が、英語と同じ地位を占めるようになります。アメリカでは、スペイン語が事実上の公用語になっており、そこには、新しい言葉が生まれています。たくさん学ぶといい。大学の四年間の間に、日本語を入れて三つの言葉をマスターするのは、そんなに難しいことではありません。新しさの中で口と舌がもつれ痙攣する。そこにこそ、新しいフィールドがある証拠です。
新しさを求めてください。それは君たちが、新しき人であるからです。君たちが新しい世界を開き、全ての人が等しく尊重される世界を築いていってほしい。世界の全てに対して、等しく開かれた感覚を磨いて、この世界の多様な豊かさをその胸に抱いてほしい。明治大学こそ、その多様な世界への入り口です。「権利自由」「独立自治」を建学の精神とする明治大学の一員として、世界へと向かってください。明治大学は、そうした君たちを、全面的にバックアップします。新しき人、新しきものを大胆に求めて、「前へ」。入学おめでとう。
どのような時代が来るのかは、ビッグデータで予測できるかもしれません。しかし、どんな時代を築くかは、君たちが考え決めることなのです。自然環境の破壊を止め、この人類の文明を守り、持続可能な成長を遂げていくために、何が必要かはわかっています。しかし、そのために何をするかは、人間の判断によって変わります。トランプ政権は、環境保護のためのパリ協定から離脱して、石油資源に依存した文明からの離脱を拒否しました。地球温暖化などはフィクションだとトランプ氏は言っています。このまま温暖化が進めば、地球にどんな破滅的な事態が起こるかは、ほぼ予想ができます。それを信じないトランプ氏を大統領にしたのはアメリカ国民なのです。AIは無力です。むしろ、フェイスブックやツイッターといった、インターネット・コミニケーションが、人々の判断を惑わし、フェイクニュースによって、社会に混乱をもたらしています。もう一度、社会の複雑な現実を見回して、何が問題であるのかを考えなければなりません。
これまでのものの考え方を脱して、新しい価値や社会の姿を想像するのは難しいことです。既得権益を持つ者からすれば、新しさは、既得権益を破壊するものに映るからです。ですが、既得権益を壊すには、その新しさが必要です。世界と社会の課題を解決するには、新しさが必要なのです。その新しさをイノベーションと言います。革新という意味です。この言葉を作り、広めた経営学者のピーター・ドラッカーにとって、イノベーションとは、新しい結合という意味でした。ドラッカーにそれを教えたのは、シュンペーターというウィーンの経済学者です。それは、発見でもなく発明でもなく、今あるものの新しい結合の姿を考えることです。例えば、ウーバーという自動車を利用した新しいシステムを考えてみてください。そこにあるのは、どれもが既にあるレディ・メード(既製品)なものばかりです。自動車、コンピューター、その新しい結合の姿がウーバーなのです。また、人類学者のレヴィ・ストロースは、未開の人々の生活と思考を、ブリコラージュであると言いました。フランス語で日曜大工という意味です。手元にあるありきたりなものを使って、生活の問題を解決する。何か新しいものを発見するのではありません。無からの創造は、神様の仕事です。人間の仕事は、今あるものの中に、新しい結合を発見することなのです。IoTといわれる、インターネットとものの社会を結合することも、まさしくブリコラージュです。この新しい結合を発見するのは、人間の仕事です。一つの専門の中に留まるのではなく、自分の固定観念を超えて、新しい結合のあり方に気付くことが求められています。
大学で君たちが学ぶのは、大勢に順応することではなく、既成の固定観念を壊して、新しいフィールドに飛び込んでいくことです。そのためには、世界を知らなければなりません。新しさへの感覚を研ぎ澄ますことが必要です。人の話を聞かなければなりません。世界にある新しい言葉の中で、日本語で考えていたことが、どのように変化するかを知らなければなりません。大学で改めて英語を学び、会話力を磨き、ドイツ語やフランス語を学ぶのは、この新しさへの感覚を磨くためです。アジアで仕事をするためには、英語は必須です。これからの21世紀はアフリカの時代になります。それは、フランス語の時代が来るということかもしれません。今は必要ではないと思っているフランス語が、英語と同じ地位を占めるようになります。アメリカでは、スペイン語が事実上の公用語になっており、そこには、新しい言葉が生まれています。たくさん学ぶといい。大学の四年間の間に、日本語を入れて三つの言葉をマスターするのは、そんなに難しいことではありません。新しさの中で口と舌がもつれ痙攣する。そこにこそ、新しいフィールドがある証拠です。
新しさを求めてください。それは君たちが、新しき人であるからです。君たちが新しい世界を開き、全ての人が等しく尊重される世界を築いていってほしい。世界の全てに対して、等しく開かれた感覚を磨いて、この世界の多様な豊かさをその胸に抱いてほしい。明治大学こそ、その多様な世界への入り口です。「権利自由」「独立自治」を建学の精神とする明治大学の一員として、世界へと向かってください。明治大学は、そうした君たちを、全面的にバックアップします。新しき人、新しきものを大胆に求めて、「前へ」。入学おめでとう。