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JAセレサ川崎と委託研究契約—アスパラガスの「採りっきり栽培R」普及を目的に

委託研究契約を締結した元木准教授(左)とJAセレサ川崎の原修一組合長(右)

明治大学は、農学部の元木悟准教授(野菜園芸学研究室)らが開発した収穫までの期間を大幅に短縮できるアスパラガスの新栽培法「採りっきり栽培R」の普及に関する委託研究契約をセレサ川崎農業協同組合(JAセレサ川崎)と3月28日に締結した。研究期間は、2019年4月1日から2020年3月31日までの1年間。

栽培が難しいアスパラガスは、通常、凍霜害を防ぐために5月頃に苗を植え、本格的に収穫できるのは定植後3年目からである。高い付加価値が期待できる反面、10年以上かけて一つの株で収穫を続けるため、長期間にわたる病害虫防除の管理や他品目との輪作ができないなどの難点があった。

これに対し「採りっきり栽培R」は、深植えにより凍霜害対策を施して植え付け時期を2~3月に早め、約1年後にすべての茎を収穫し、株を翌年に持ち越さない単年度の栽培方法である。従来の栽培法よりも栽培期間が短いため病害も発生しにくく、作業負担やコスト削減のほか、同じ畑での輪作も可能となる。

川崎市と本学の連携協定に基づき設置された「黒川地域連携協議会」で2年前から、麻生区の黒川地区で17軒の農家が試験的に栽培を実施。昨年、直売所で初めて販売され、来店者から好評だったこともあり、アスパラガスの生産農家は54軒に増加した。「採りっきり栽培R」をより確実に広め、アスパラガスのブランド化と農業所得の増大を目的に、今回の契約に至った。開発者の元木准教授は、「都市農業を営む生産者のために、JAセレサ川崎と協力して『採りっきり栽培R』の普及に力を注ぎたい」と抱負を述べた。