Go Forward

道具としてのICT 副学長(情報教育担当)鎌田 弘之

現在、大学は多くの目にさらされ、厳格な成果を求められる時代になっています。3ポリシーの制定についても、エビデンスを添えて、ポリシー通りに実行されていることを証明する必要があります。その一方、本学の教員、職員は多忙を極めており、また本学の規模、構造、歴史的な経緯等々も相まって、社会の要求に明確に、かつ迅速に答えを出すよう、全学で足並みをそろえることは容易なことではありません。

こういった困難な問題を解決する手段は、やはりICTの力を借りることだと考えます。しかしICTを利用するにあたり、マニュアルを熟読しなければ利用できないようでは、ほんの一部の人が利用するのにとどまるでしょう。2007年にスマートフォンが誕生し、ICT利用のある種のハードルが大幅に下がった時のように、「マニュアル不要」、「感覚的に利用できる」、「間違いが起きにくい」かつ「セキュア」にICTを活用できることが、私たちの活動に深く浸透する条件になると考えています。

その一方、ICTの導入、浸透につれて、大学を構成する我々全教職員の意識も変わる必要があります。例えば本学では、遠隔授業や遠隔会議が従来よりも簡単に利用できるよう整備され、2019年度から様々な形で利用できるようになりました。これを利用することにより、キャンパス間連携による授業、イベント、会議はもちろんのこと、国内外の他大学、他組織との連携も従来の比ではなくやりやすくなり、学長が提唱する共創教育、共創研究の一端が実現できます。また授業の受講スタイルも多様化でき、体育系合宿所やラーニングコモンズでの受講、あるいは必要に応じてスマートフォンで受講することも技術的には可能です。さらに、こういった環境において良質な教育を提供するために、資料を容易にディジタルコンテンツにする環境も整備し始めています。授業中、受講者の反応をリアルタイムで収集するクリッカーアプリの利用も整備され、また無線LAN環境や高速ネットワークの整備も進んでいます。

こういった新しい教育環境は、授業を提供する側も受講する側も、はじめは違和感があるかもしれませんが、世界的に浸透し始めているスタイルなので、慣れる価値があると考えます。もちろん新しいスタイルの教育を実現するために、教職員に負担をかけては意味がありません。大学の質の向上および研究時間確保等のためにも、ICT技術者の活躍にも期待しています。ICT技術の導入は、大学にとって、教育、研究の質をさらに高める道具として大きな価値があります。利用者の意識改革とともに、引き続き推進したいと考えています。

(理工学部教授)