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本棚 新 多文化共生の学校づくり—— 横浜市の挑戦 山脇 啓造・服部 信雄 編著(明石書店 2,400円+税)



本書は、2005年に刊行された『多文化共生の学校づくり—横浜市立いちょう小学校の挑戦』の続編である。この14年で日本の学校の多国籍化、多民族化は一層進行し、横浜市でも外国につながる子どもが増加の一途を辿り、多文化共生の教育の実現が喫緊の課題になってきた。旧いちょう小学校の多文化共生の取り組みが、横浜市全体に広がり、さらに市民団体などの取り組みも多様に展開されるようになったことが本書から読みとれる。多文化共生の教育の実現に向けて、教育委員会、学校、国際交流協会、国際交流ラウンジ、市民団体が共に取り組んでおり、市全体の取り組みが「点から面」として広がっている。本書は、外国につながる子どもの発達・成長をどのように支えるかを実践者が自らの言葉で表現しており、多様な実践をリアルに描き出すことに成功している。学校、地域が連携して、多文化共生の学校づくりを実現する道筋を明確にした好著であり、教育関係者はもとより、外国人の受け入れに関わる多くの人に勧めたい。

佐藤 郡衛・国際日本学部特任教授
(編著者の山脇啓造は国際日本学部教授)