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USBが56万円?大学生間で広がるマルチ商法 手口と対策とは



「最近投資で儲かっているんだよね」

「君も早く始めないと損をするよ」

高額なUSBを買わされたとの相談が学生から多数寄せられている。そのほとんどが、いわゆるマルチ商法と呼ばれる連鎖取引であり、友人関係を利用してネズミ講式にその被害を拡大させている。この手の話は従来からよく聞くが、その勧誘方法や手口は年々巧妙になっている。相談に来た学生から寄せられた「もうけ話」から始まる手口は次のようなものだ。

相談事例

高校時代の友人Aに「投資で手軽にもうけられる話がある」「株でもうけている凄い投資家を紹介する」と喫茶店に来るよう誘われ、その場で金融取引の話、いくらもうけているかなど実際の取引記録を見せられながら説明を受けた。早く始めないと周りから出遅れるとあおられ、後日、金融取引のノウハウが入ったUSBメモリを56万円で購入するよう勧められた。そんな大金は持ち合わせていないと断ったが、「みんな学生ローンを利用している。英会話教室へ通うためと言えば審査が通りやすい。セミナーに通ってUSBを使いこなせば、56万円なんてすぐに返済できる」と半ば強引に押し切られて購入した。購入後しばらくは投資を頑張ったが、一向に成果が上げられず、投資セミナーも次第に勧誘方法にまつわる内容が中心になっていった。疑問を抱き、Aに確認すると、「もうけるためには投資ではなく勧誘後のキックバック(一人当たり5万円)を中心に稼ぐほかない」と言われ、自分がだまされたことに気が付いた。Aは勧誘活動にハマっており、友人を口説きUSBを購入させ、5万円を得ることにやりがいを感じてしまっているようだ。

特徴

似たような事例の相談は多く寄せられているが、これらに共通する特徴は、「気が付いたら自分も加害者になっている」ということだ。商品が高額なため、購入後は精神的に「後戻りできない」状態になっている。不安な気持ちのなかで投資を始め、ほどなくクーリングオフ期間が過ぎる。手元のお金は減っていく一方、高金利により借金は膨らんでいく。「もしかしたらだまされたかもしれない」そんな気持ちが芽生えたとき、計ったように勧誘でもうけることができるシステムが登場する。一部では勧誘活動を「ビジネス」と称し、勧誘者数や売上など数字を残した人物が賞賛を受けるような環境があるとも報告されている。

対策

勧誘を受けたときは、当該企業をインターネットで検索したり、家族に相談したりして冷静になる時間を作ることが必要である。サークルやクラス、ゼミなどのグループ内で勧誘が行われている場合には、情報を共有し、マルチ商法は友人関係を壊しかねないという共通の認識をもっておくことが大切だ。そういった雰囲気作りも勧誘への対策になる。購入してしまった場合は、消費生活センターなどに早めの相談をすることが望ましい。クーリングオフ期間が過ぎていても、状況によっては一部返金を求めることが可能なケースもある。

学内でマルチ商法関連の話を聞いた際は、所属学部事務室、学生支援事務室、学生相談室のいずれかに相談・連絡してほしい。

(学生支援事務室)