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本棚 海内外中国戯劇史家自選集 福満正博・岡崎由美巻 福満 正博 編著 (大象、6,352円+税)



本書は、中国および外国の著名な中国演劇研究者の論文を収録した、中国の学術叢書の一冊である。編集委員は中国、日本(田仲一成・東京大学名誉教授、日本学士院会員)、韓国、オランダの第一人者からなる。本巻は、福満正博・明治大学教授と、岡崎由美・早稲田大学教授の研究論文の中国語訳を収録する。

同じ西洋演劇でもギリシア悲劇とシェイクスピア劇とでは時代も性格も違う。ヨーロッパの数倍の面積と人口をもつ中国の演劇は、さらに多種多様だ。本巻に収録する福満正博氏の論文の中国語訳は、氏の研究業績の一部にすぎないが、それでも取り上げた演劇は、時代も地域も多彩である。元明の雑劇、南戯、安徽省・江西省の青陽腔、河北省武安市の賽戯(古い歴史をもつ地方劇の一つ) 等について、綿密な文献研究と実地調査の両面から多くの知見を明らかにする。世界各国の中国演劇研究者の国際語は、中国語である。本書の刊行を通じ、本学の中国研究のレベルの高さが世界に知られることを、誇りに思う。

加藤 徹・法学部教授(編著者は経営学部教授)