Go Forward

お盆休みに帰郷し、久しぶりに「休み」らしき時間を持てた。そんなときには自分の専門分野とは違う分野の本を読む。異なる分野の卓越した知見は、研究の視野を広げるためにも示唆に富むことが多いからだ。何冊か読み、今年は共通のキーワードが目にとまった。それは「共感」、「つながり」といった社会のあり様にかかわる言葉である。その背景には、近年、顕著になってきた貧困、格差、社会的排除といった問題がある。終戦後日本は高度経済成長をとげ「豊か」になった、はずだった。市場とその発展を支える国の様々な制度は、貨幣交換による快適な生活をもたらした。その一方で、「関係性の貧困」が人々の生活に暗い影を落としているという。貨幣による対価を得るものではない「共感」や「つながり」といったものが分断されてきたようである。正しい行いというよりも、「何かしなくては」という思いから生まれるつながりを、もっと愚直に求めてもいいのではないか。そんなことを深く感じたお盆休みであった。