Go Forward

第592回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

文・写真/藤山由理(文2)

苦悩を越え 待望の大学初ゴール スケート部(アイスホッケー部門) 吉岡 莉央



初ゴールの味は格別だった。リーグ8戦目の日体大戦。第3ピリオド開始34秒「なんとしてでも決めたかった」。FW吉岡莉央(文2=武相)と、DF青山大基(法2=釧路江南)の速いパスに、相手キーパー前にいた吉岡が合わせゴールネットを揺らした。これが吉岡にとって大学初ゴール。「狙って当てたのか、当ててくれたのか分からないくらい無我夢中だった。やっと2年目で(笑)、決められて最高です」。ついに訪れた歓喜の瞬間に酔いしれた。

苦渋の1年間だった。高校時代、それほど全国的な選手ではなかった吉岡。それでも「チャレンジ精神」で明大進学を決意した。しかし、現実は甘くなかった。出場機会はほぼ与えられず「もうホッケーなんてどうでもいい」。常勝軍団のレベルの高さに跳ね返され、大好きだったホッケーも楽しくなくなった。そんな吉岡を横目にチームは2年連続3冠を達成。同期は主力として活躍していた。「自分だけ横並びになれていない」。劣等感を感じながら、ただ遠くから見ていることしかできない日々を過ごした。

環境の変化が再び前を向くきっかけになった。2年生になり後輩ができたことで、雑務が軽減。自分自身と向き合う時間が増え、試合の動画も見返すようになった。〝ホッケーなんて…〟。一度はそう思ったはずなのに、気付けば頭の中はホッケーのことばかり。「やっぱり好きだ」。どんなに腐ろうと、消し去ることのできなかった思いが、吉岡を突き動かした。

ここからがスタートだ。「このゴールに甘えないで、次も狙っていく」と、気合いは十分。強力なFW陣の一翼へ。物語の1ページ目が今開かれた。

(よしおか・りおう 文2 武相 178㎝・73㎏)