Go Forward

先日、ある新聞の投書欄に「人と違っても大丈夫な世界に」と訴える声が載っていた。これは息子が発達障害のグレーゾーンという母親の声であるが、イノベーションのための人材論にも通じるところがある。欧米に手本があって何を作るか明確であった時代には特に生産現場では協調性が求められた。しかし、何を作るか考えなくてはならない時代には「普通」と異なる発想が必要である。内閣府の「知的財産推進計画2019」が「尖った才能」の活用を冒頭に掲げているのもそうした時代認識の反映であろう。他方、日本経団連の調査によれば、企業が新卒学生の選考時に重視する資質の第1位は、16年連続で「コミュニケーション能力」である。「尖った才能」と「コミュニケーション能力」をどう高めていくか。この問いにただ1つの正解はないが、大切なことは、人々の多様性や異質性を楽しく好ましく感じる経験を重ねることではないかと思う。来年の「東京オリ・パラ」がそのためのよい機会となることを期待している。