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第595回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

何よりもチームのために「一貫した努力」やり切って得た勲章 ラグビー部 安部 耕平

文・写真/上松凜助(法2)



1月11日、全国大学選手権決勝。ラグビー部は連覇を目指し、早大と対戦した。伝統の一戦は35-45。一歩及ばず準優勝に終わった。

「やり切った」。その思いと共に涙が頬を流れた。安部耕平(法4=大分舞鶴)はノーサイドの瞬間をスタンドから見つめた。今季Aチームでの出場はなし。それでも「やってきたことは間違いではなかった」。胸を張り堂々と話した。

悩みに悩んだ1年だった。「本当につらかった」。日々の朝練、ハードな練習メニュー、選手層という分厚い壁を前に何度も心は折れかけた。出場を夢に見続けた試合があった。6月、大分県で行われた春の明早戦。大分出身の安部は「その試合で活躍して、地元に恩返しを」。そう意気込んで努力を重ねてきた。しかし、メンバー入りはかなわず。「悔しかった」。この思いが彼の意識を変えた。「自分が出たいだけじゃダメ」。試合がなくとも最上級生として、最後まで自身の役割を全うした。

「人間として一番強かった」(田中澄憲監督)。最後のミーティング。手渡されたのはチームのマンオブザイヤーを賞する小さな勲章。「最後にライトを照らしてもらって本当に感謝」。またしても大粒の涙が流れた。

卒業後は一般就職の道を進む。「ラグビーも仕事も大事なのは人間性」。苦悩の果てにたどりついた勝敗以上に大事なもの。18年間のラグビー生活そのものが、何よりもかけがえのない人生の財産だ。

(あべ・こうへい 法4 大分舞鶴 169cm・73kg)