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第599回明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「兄超えを目指す野球人生」硬式野球部 鈴木 貴士

文・写真/小畑 知輝(経営3)



鈴木貴士(商4=佐久長聖)は安定感のある守備が持ち味の内野手。堅い守りを強みとする、今季のチームのカギを握る選手だ。貴重な両打ち打者として、打席でも存在感を発揮する。今冬には3時間に1回、間食を取り増量に成功。「去年と比べて打球に距離が出るようになった」と手応えをつかんだ。

人望も厚い。公家響主将(政経4=横浜)から打診され、寮長に就任。ゴミの分別、掃除の点検と寮生活の細かな部分にまで目を配る。「寮長がしっかりしないと周りもついてこない」と自身の生活も律し続けている。

鈴木を語る上で欠かせない人物がいる。兄・雄太さんだ。野球を始めたきっかけも、両打ちに転向したのも兄の姿を見て。佐久長聖高に進学した理由も、兄と同じ指導者の下で野球をするため。常に同じ道を歩んできたことで、比較されることも多かった。だが「兄弟といっても負けたくない」という一心で努力を続けてきた。日頃は仲が良く、野球の技術面から礼儀作法まで、多くの助言を得ている。「いいライバルでもあり、尊敬もしている」。鈴木の野球人生になくてはならない存在だ。

最終学年の目標は日本一。頂点にこだわる並々ならぬ思いがある。昨春の立大2回戦。リーグ戦初スタメンを勝ち取った鈴木。初安打も記録し、スタメン定着の期待も高まった。しかしその直後、インフルエンザに感染し戦線離脱。6月の大学選手権で日本一に輝いた仲間たちを横目に「体調管理ができていれば」と悔しさが込み上げた。「勝って喜べるのはいいなと思った」。今度こそ、自らも歓喜のグラウンドへ。その手で金メダルをつかみ取る。
(すずき・たかし 商4 佐久長聖 175cm・72kg)