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第600回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「本領発揮! 紫紺の10番のラストイヤー」 サッカー部  小柏 剛

文・写真/高野 順平(情コミ3)



サッカー選手にとって、「10」は特別な背番号である。パスセンスに優れたゲームメイカーに、決定力を備えるストライカー……。いずれにせよ、チームの象徴となる選手にのみ着けることが許されたものだからだ。

FW小柏剛(商4=大宮アルディージャユース)は、本学サッカー部において昨季からこの番号を背負う。身長167㎝とサイズに恵まれてはいないものの、爆発的なスピードと打開力を武器に「大学No.1アタッカー」の名をほしいままにしている。

そんな小柏にとって、昨季は歯痒さの残るものだった。リーグ戦では16戦に出場しながら、わずか3ゴール。「同ポジションの佐藤亮選手(2020年商卒・現ギラヴァンツ北九州)が得点を量産する中で、自分はついていけなかった」。2度の全国制覇を果たし、圧倒的な戦績を残したチームとは裏腹に、真価を発揮するには至らなかった。

「自分がチームを引っ張る」。強い決意を持って迎えた今季。戦いの場が続々と失われていく中でも、小柏の気持ちが切れることはなかった。大学スポーツの先陣を切って7月にスタートしたリーグ戦では、開幕から3戦連発。早くも昨年度の得点数と並んだ。「こうした状況の中で、ガチンコ勝負できることがとてもありがたい」。エースとして、最上級生として。冒頭の言葉通り、鬱憤を晴らすような活躍が続いている。

来季からはJ1・コンサドーレ札幌への加入が内定している。「プロに進む選手として、周囲からの目も変わってくる。個で剥がせる強さを求めていく」。大学ラストイヤー、紫紺の10番が生み出す名場面を見逃すな。
(おがしわ・つよし 商4 大宮アルディージャユース 167㎝・67kg)