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本棚 「政策はなぜ検証できないのか— 政策評価制度の研究」 西出 順郎 著(勁草書房、4,500円+税)



日本の国レベルに政策評価制度が導入されて、ちょうど20年が経過した。政策評価に関する書籍は多いが、その経緯、仕組み、実態、そして問題点などをこれほど包括的に分析した本は他にないだろう。政策評価を勉強する者や自ら携わる者には、まず本書を読むことをお勧めする。

政策評価は、当初この国のかたちを変えると期待されたが、実際には機能していない。本書は、その原因を、行政の評価従事者が自らの正当性を標榜するといった「作為的評価行動」をとること、それを是正するように制度の設計がなされていないことにあると主張する。さまざまな研究者が評価の問題を指摘するが、その多くは科学的な分析に欠けている。本書の学術的な意義は、実際に行われた政策評価過程の分析や行政職員へのインタビューなどを通じて、エビデンスを提供していることにある。

行政内部の問題については本書があますところなく分析しているが、評価は結局のところ政治の問題である。政治が政策過程の透明性を嫌う限り、評価は発展しない。
田中秀明・専門職大学院ガバナンス研究科教授
(著者も専門職大学院ガバナンス研究科教授)