Go Forward

1960~70年代に全盛を誇ったスポ根漫画。直向きな努力の末に目標を成し遂げる。最近では、このようなジャンルが流行らなくなった。しごきを連想させることも一因だろうが、根性で乗り切るよりも、知性と感性でスマートに生きることが崇められているからか。

運動・芸術はもとより学問についても練習第一と考えているので、講義・ゼミなどでは、失敗することを奨励しているが、間違いを恐れる学生が多くなってきたと感じる。失敗が仕事の証だと諭しても、スマートではないと気後れしているのか、課題の正答が示されるまで鉛筆の動く気配がない。アカデミックハラスメントなどではないはずだが、先日開催されたオンライン講演会での「ハラスメントを起こさないと言い切っている教員が一番危ない」との指摘が心に刺さる。

2020年は大変な年になった。失敗が許されない状況が続く中で、精神論を振りかざすことなく学生に進むべき道を示せているだろうか。「私の視点 医学を選んだ君に問う」(『朝日新聞』、2002年4月16日朝刊)を読み返し自問する日々が続く。