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第602回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「最後の瞬間は最高の仲間と最高の舞台で」水泳部(水球部門)増田 隆広

写真・文/仁科 せい(情コミ3)



いつだってがむしゃらに、どんな相手にも臆さない。誰よりも貪欲に勝利を追い求めてきた。「勝ち切るチームをつくりたい」。チームを守り続けた増田隆広主将(商4=明大中野)は静かにプールを去った。

豪快なシュートでチームを救ってきた。入学した年から体育会に上がった水泳部水球部門。新生チームとして再出発する中、増田はすぐにスタメンに。「もっとやれる」。そんな明石監督の期待通り新人賞を獲得、一気にエースへ。「もっと強くなる」「勝たなければいけない」。常に強い眼差しで水球と向き合ってきた。

最後の瞬間に全てを懸けて。初戦敗退に終わった昨年度のインカレ。その悔しさを忘れず、走り続けた中で立ちはだかった新型コロナウイルス。試合もできず引退するのか。そんな不安もよぎった。それでも主将として「現時点の力を最大限生かせるように」。例年に増してミーティングを重ねるなど、チームを率いてきた。

念願のインカレは早大に一歩及ばず、チーム全員が涙した。勝ちたかった。その悔しさは消えないが、仲間と最高の舞台で試合ができた。全員で戦い抜いた記憶は胸に残り続ける。

ダイナミックで激しいプレー。しかし水中では巧みな駆け引きや繊細な動き、見えないたくさんの戦術が隠れている。そう魅力を語る姿は嬉しそうで、そして少し寂しそうだった。「今度はうれし涙を流せるよう練習に励んでほしい」。主将が掛けた最後の言葉。熱い思いは確かに、後輩へと引き継がれる。
(ますだ・たかひろ 商4 明大中野 171cm・63kg)