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本棚 「夢と欲望のオリンピック—その多様な姿」 高峰 修 編著(成文堂、3,200円+税)



本書は本学政治経済学部を中心とする教員13人によるオリンピックをテーマにした論集で、政治経済学部3・4年生を対象としたオムニバス講義の成果をまとめたものである。

政治学、スポーツ史、現代思想、近現代史、行政学、スポーツ社会学、マクロ経済学、人口経済学、地理学、ジェンダー史研究といった、本学が誇る多様な分野の研究者による本格的な論考であり、スポーツ科学研究に寄与するクオリティであるとともに、学生向けの教科書でもあり、一般の方にもわかりやすく書かれている。

「スポーツ科学」は学際的な研究領域で、医学、生理学、歴史学、社会学、経営学など多様な分野から構成されており、各学問のプロパーの研究者による論考や書籍もしばしば出されているが、これだけ多様な研究領域の専門家がスポーツについて本格的に論じた書籍は珍しく、おそらく東京でオリンピックが開催されなければ作られなかっただろう。そういう意味では今回のオリンピックの(数少ない)貴重なレガシーの一つと言えるかもしれない。
澤井 和彦・商学部准教授(著者は政治経済学部教授)