Go Forward

「単位と履修の国際化」

副学長(国際交流担当) 小室 輝久

新型コロナウイルス感染症が世界中でまん延し、留学と国際交流も大きな影響を受けています。しかしこの状況は、これまでの学修の仕組みを見直し、質を向上させるチャンスと考えています。

今年度は本学の授業の多くをオンラインで開講し、海外協定校との留学も「オンライン留学」の形で実施しました。オンライン授業は場所を選ばないことから、本学の学生が国内に居ながら外国の大学の授業を履修できる、また海外の学生が現地から本学の授業を履修することができるようになりました。

留学して実地に人や文化や自然に触れなければ感じ取れないことがあるのも確かですが、基本的な知識の習得などオンデマンド教材を用いたオンライン授業のほうが効果的なこともあります。費用と時間の面で留学が難しい学生にも、オンライン授業を通じて外国の大学での学びを提供できます。そのため、学生が学修の成果を最大限に発揮できるような実際の留学とオンライン授業、また両者を効果的に組み合わせた留学プログラムを開発していきます。

外国の大学との間で交換留学や単位互換を進めるとき、これまでの学修の仕組みで再検討すべき点の一つに、学生の1学期あたりの履修単位数があります。本学における授業は、大学設置基準に基づいて1単位あたり45単位時間(33.75時間)の学修を授業および授業外で行うものとしています。したがって、もし1学年間に48単位分の授業を履修する場合、授業期間中に1620時間、1週あたり約58時間の学修が必要です。この時間数は、欧州単位互換制度(ECTS)が1学年間の授業および授業外での学修時間を1500時間から1800時間(60ECTS)としていることと一致します。

1単位あたり約34時間の学修は単位制度の国際標準に沿ったものであり、それゆえに外国大学との間で交換留学や単位互換が可能になっているのですが、1週当たり約58時間の学修は、部活動・サークル活動やアルバイトが生活の一部であり、キャンパスへの通学時間を要する多くの学生にとっては、現実的でない時間数と言わざるを得ません。

米国の大学の単位制度では、1学期に5科目15単位、卒業までの4年間で120単位を取得するのが基本です。米国の大学では1単位が、毎週1単位時間(50分)の授業と担当教員がシラバスに明示した準備学習(約2~3単位時間相当)の学修から構成されており、日本の大学設置基準上の学修時間とおおよそ一致します。各学部は適切なカリキュラムを設定し、教員は単位数に対応した授業内外での学修を学生に提供し、学生は自身の選択と責任で履修する科目数と学修時間を決めます。

本学が「世界の中の明治大学」であり続けるために、国際標準の、グローバルな視点ではあたりまえの学修の仕組みを絶えず整えていきます。
(法学部教授)