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第605回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「学生主体で駆け抜けた4年間胸に次なるステージでいざ日本一へ!」 アメリカンフットボール部 西本 晟

文・写真/素宮 愛結(営3)



「こみ上げてくるものがあるな」。学生最後のゲームが終わった。QB#4西本晟(商4=箕面自由学園)は同期とがっしりと握手を交わし、涙を流した。秋季リーグ最終戦は、今年度初の有観客。聞こえてくる声援に、感謝の思いがこみ上げた。結果はリーグ4位。目標の日本一には届かなかったが「アメフトができる〝当たり前〟に感謝したい」。選手、指導陣、関係者への万感の思いを口にした。

苦しい1年だった。先輩たちに必死でしがみついた、昨年度までの3年間。今年度はその真面目さを買われ、戦術などを練るオフェンスリーダーを任された。元来、控えめだった性格も「変えるくらいの意気込みで取り組んだ」。学生主体のチームだからこそ、先頭に立つことに人一倍苦労した。さらに、昨年度負った膝のけがにも思い悩んだ。「今年こそは甲子園ボウルに出場してみせる」。固い決意とは裏腹に、完治しないけが。1年次からスタメン入りを果たす稀代のQBだからこそ、調子の戻らない時間がもどかしかった。

もうダメかもしれない。何度も諦めかけた。そんな苦難を仲間がばねへと変えてくれた。「お前を支えて頑張るから」という同期のげき。「誰よりもオフェンスのことを考えてくれている」とRB#29山田大葵主将(法4=関西大倉)からの感謝。小手先のテクニックだけでは足りない。「皆の思いを無駄にしないフットボールを」。どんな逆境でも屈しない覚悟を持って、リーグ第3節には昨年度関東王者・早大を撃破するまでの力を発揮した。

西本は卒業後も社会人で競技を続ける。「まだ納得した形で終われていない」。小学2年次から始めた競技生活。いつもあと一歩で頂点を逃してきた。最高の仲間から得た教訓と、自慢のフィジカルで今度こそ「日本一のQBに」。悲願達成を夢見て今日も鍛錬を惜しまない。
(にしもと・じょう 商4 箕面自由学園 172cm・75kg)