「変化を先取りする気概をもって『前へ』」
理事長 柳谷 孝
祝辞に入ります前に、新型コロナウイルス感染拡大により多大な苦難に遭われた皆さまに衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、その渦中で私達の命を守り、生活を懸命に支えておられる方々に深く感謝を申し上げます。依然としてこの惨禍が続いておりますが、安心・安全で活気ある日常生活が送れる日が一日も早く到来しますことを、心より願っております。
あらためまして、卒業ならびに修了を迎えられる皆さん、このたびは誠におめでとうございます。本学で多くの学びや出会いを重ねてきたことでしょうが、学生生活最後の1年は、予期せぬ状況で学修環境も一変し、不安や戸惑いがある中で日々自己を律しながら研鑽に励まれたことでしょう。皆さんが揺るぎない信念とたゆまぬ努力のもと、苦労を乗り越えて学位を取得されましたことに心より敬意を表します。また、ご家族の皆さま方にもお慶びを申し上げますとともに、コロナ禍の難しい状況の中、本学へ多大なるご理解とご協力を賜りましたことに学校法人明治大学を代表し、厚く御礼を申し上げます。
ところで、世界に未曾有の混乱をもたらした新型コロナウイルスは、社会に内在するさまざまな課題を改めて浮き彫りにさせ、各国は試練ともいうべき厳しい対応の選択を余儀なくされています。これまでの気候変動や資源問題などの難題も相まって、私達は地球のキャパシティを超えない「続く世界」を目指して地球環境との共生へと舵を切る局面を迎えており、持続可能な開発目標「SDGs」や人類の営みで増え続けたCO2 を減らす「カーボンニュートラル」の奔流が、世界を席巻する時代に向かいつつあります。これまで当たり前に行ってきた生活様式や社会活動が否応なしに変容を迫られて「ニューノーマル」への転換が進みゆく中で、今後、社会構造の変化するスピードは、私達の予測を超えて一層加速し続けてゆくことでしょう。
そのような激動の時代に船出する皆さんには、情報に対する感度を高めて変化を見極め、それぞれの「Solution」すなわち「解」を創造して行動へと移していけるかが一段と問われてきます。アメリカの哲学者ウィリアム・アーサー・ワードは、こうした状況を大海原での航海になぞらえて、深い洞察に満ちた言葉を残しています。それは、
“The pessimist complains about the wind. The optimist expects it to change. The realist adjusts the sails.”-William Arthur Ward
悲観的な人は風が出てきたと嘆き、楽観的な人はそのうち風は変わるだろうと待つ。しかし、現実的な人は風向きを読んで帆を合わせてゆくのだ。
というものであります。
もとより人類の営みは、不可能や未知と呼ばれる数多くの事象を前に、先人達が飽くなき探究を続けて真理を解明し、「解」を創造し続けてきた歴史の積み重ねであります。本学を卒業される皆さんも、現在のコロナ禍や今後訪れるであろう困難を前にした時、自身の環境を嘆いたり、状況が好転するのをただ漫然と待つのではなく、変化した先の世界とその中での自分の姿を見据えた上で、今やるべき取り組みを懸命に続けて、未来の変化を先取りしてゆくことに果敢に挑んでいってほしいのです。
そのためには、卒業後も主体性をもって自ら「考える材料」を発見してゆき、そして「自分で考え抜く力」を磨き続けてゆくことが肝要です。明治大学が理念として掲げる「『個』を強くする大学」、この「『個』を強める」という真髄も、まさにその点にあります。本学で培った学びや経験を基に、実社会で得られるあらゆる知識や情報を自らの成長の糧にして、時代の先駆者として必要な判断力と実践力を高め続けていくことに期待をいたしております。
これからの社会を自らが創造してゆく「未来の担い手」としての気概と不屈の明治魂を胸に、変革する社会の先頭に立って、「前へ」と時代を切り拓いていってください。そして、地球市民の一員として、国や人種の違いを超えて協調できる世界を希求するとともに、人類と地球環境との調和した未来を創造してゆくことに、皆さん一人ひとりが貢献していってほしいと、切に願っています。
本日の新しい門出に際し、皆さんの前途に幸多きことを心より祈念いたし、祝辞といたします。ご卒業、誠におめでとうございました。
あらためまして、卒業ならびに修了を迎えられる皆さん、このたびは誠におめでとうございます。本学で多くの学びや出会いを重ねてきたことでしょうが、学生生活最後の1年は、予期せぬ状況で学修環境も一変し、不安や戸惑いがある中で日々自己を律しながら研鑽に励まれたことでしょう。皆さんが揺るぎない信念とたゆまぬ努力のもと、苦労を乗り越えて学位を取得されましたことに心より敬意を表します。また、ご家族の皆さま方にもお慶びを申し上げますとともに、コロナ禍の難しい状況の中、本学へ多大なるご理解とご協力を賜りましたことに学校法人明治大学を代表し、厚く御礼を申し上げます。
ところで、世界に未曾有の混乱をもたらした新型コロナウイルスは、社会に内在するさまざまな課題を改めて浮き彫りにさせ、各国は試練ともいうべき厳しい対応の選択を余儀なくされています。これまでの気候変動や資源問題などの難題も相まって、私達は地球のキャパシティを超えない「続く世界」を目指して地球環境との共生へと舵を切る局面を迎えており、持続可能な開発目標「SDGs」や人類の営みで増え続けたCO2 を減らす「カーボンニュートラル」の奔流が、世界を席巻する時代に向かいつつあります。これまで当たり前に行ってきた生活様式や社会活動が否応なしに変容を迫られて「ニューノーマル」への転換が進みゆく中で、今後、社会構造の変化するスピードは、私達の予測を超えて一層加速し続けてゆくことでしょう。
そのような激動の時代に船出する皆さんには、情報に対する感度を高めて変化を見極め、それぞれの「Solution」すなわち「解」を創造して行動へと移していけるかが一段と問われてきます。アメリカの哲学者ウィリアム・アーサー・ワードは、こうした状況を大海原での航海になぞらえて、深い洞察に満ちた言葉を残しています。それは、
“The pessimist complains about the wind. The optimist expects it to change. The realist adjusts the sails.”-William Arthur Ward
悲観的な人は風が出てきたと嘆き、楽観的な人はそのうち風は変わるだろうと待つ。しかし、現実的な人は風向きを読んで帆を合わせてゆくのだ。
というものであります。
もとより人類の営みは、不可能や未知と呼ばれる数多くの事象を前に、先人達が飽くなき探究を続けて真理を解明し、「解」を創造し続けてきた歴史の積み重ねであります。本学を卒業される皆さんも、現在のコロナ禍や今後訪れるであろう困難を前にした時、自身の環境を嘆いたり、状況が好転するのをただ漫然と待つのではなく、変化した先の世界とその中での自分の姿を見据えた上で、今やるべき取り組みを懸命に続けて、未来の変化を先取りしてゆくことに果敢に挑んでいってほしいのです。
そのためには、卒業後も主体性をもって自ら「考える材料」を発見してゆき、そして「自分で考え抜く力」を磨き続けてゆくことが肝要です。明治大学が理念として掲げる「『個』を強くする大学」、この「『個』を強める」という真髄も、まさにその点にあります。本学で培った学びや経験を基に、実社会で得られるあらゆる知識や情報を自らの成長の糧にして、時代の先駆者として必要な判断力と実践力を高め続けていくことに期待をいたしております。
これからの社会を自らが創造してゆく「未来の担い手」としての気概と不屈の明治魂を胸に、変革する社会の先頭に立って、「前へ」と時代を切り拓いていってください。そして、地球市民の一員として、国や人種の違いを超えて協調できる世界を希求するとともに、人類と地球環境との調和した未来を創造してゆくことに、皆さん一人ひとりが貢献していってほしいと、切に願っています。
本日の新しい門出に際し、皆さんの前途に幸多きことを心より祈念いたし、祝辞といたします。ご卒業、誠におめでとうございました。
【卒業式次第より転載】