Go Forward

今年の新入生は、コロナ禍の前から共通テスト問題に振り回され、首都圏私大の定員厳格化に振り回され、そして新型コロナウイルスに振り回されてきた。受験生としては、たくさんの理不尽さを引き受けてきた。

「あなたは得難い経験をしたのだから、むしろその経験を活かしていきなさい」という生半可な叱咤の残酷さを、幾度の災害を経験してきた私たちは知っている。彼らがなめた辛酸は、そんなに簡単に前を向けるほど生やさしいものではなかった。同じく入学式に参列した2年生も去年の混乱を忘れられるはずがないだろう。

それでも時は進む。人生という舞台は続く。なかったことにはできないし、記憶を消すことも難しい。これから先も学生たちは理不尽さを引き受け続けていくだろう。

学生たちがそうした存在であることを、まず受け止めていきたい。そして、彼らにも理不尽さを生き抜く中で得た知恵がある。唇をかんで学生たちが「前へ」進み出そうとするとき、「同心協力」の精神で確かな支援の生まれる明治大学であることを願う。