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本棚 「ビッグデータ時代の統計学入門-データサイエンスを支える統計の基本」 藤江 昌嗣 著(学文社、税込2640円)



選挙の開票速報を不思議に思うことはないだろうか。開票率1%でなぜ当確が打てるのか。テレビの視聴率調査はどのくらい当てになるのか。ビッグデータの時代といわれ、われわれの周りにはデータがあふれている。インターネットで誰でも簡単にアンケート調査ができる。さて、集めたデータをどう使えば良いのか。本書は、データ分析についてのさまざまなレシピが満載の統計学版クックパッドと呼びたい。前半はデータを整理する話で、数字の変換やグラフの作成などが、消費者物価指数などの政府統計からスモン病、日本料理の出汁などいろいろなテーマで具体例が示されている、後半は限られた標本から全体を押し測る話で、視聴率の話はここで出てくる。全体として標準的な統計学の入門書で扱われる項目は全てカバーされ、さらに省略されがちなノンパラメトリック検定なども詳しく説明されている。なお、明大生が作成した「統計いろはカルタ」というおまけ付きで、そこから一つ紹介しよう。「き:気を付けて ビッグデータも 一長一短」
千田亮吉・商学部教授(著者は経営学部教授)