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本棚 「図説 企業の論点」野中 郁江・三和 裕美子 編著(旬報社、税込1650円)



日本は、企業社会であると言われる。企業が経済活動の主体であることは言うまでもないが、そればかりでなく、企業、とりわけ大企業は、スポーツや社会の領域においても影響している。本書は、企業を読み解けば現代社会が見えるとして、株主を中心とする資本主義の見方、企業活動の結果である利益の配分の在り方、企業で働く人の職場の状況、企業による持続可能な社会への模索という、4つのテーマについて、39の論点からわかりやすく説明している。

「会社は誰のものか」やガバナンスの問題のように、1990年代から問われている論点ばかりでなく、シェアリングエコノミーやポストコロナの企業経営のように、最近の論点も取り上げられている。39の論点で貫かれていることは、企業が働く人にとって、企業と直接的な利害関係を有していない市民にとって、さらには、地球にとって、どのように課題に取り組めるのかという方向性を示唆していることである。実際に取り組んでいる企業が存在することについても紹介している。
出見世 信之・商学部教授(編著者も商学部教授)