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第612回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「不屈の精神で押し切る努力家。相撲人生が続く日まで〝前へ〟」相撲部 八幡 莉玖

文/野口 優斗(文2) 写真/波木井 里紗(文3)



小学1年次に出場した、わんぱく相撲大会での優勝。「もっと頑張りたいと思った」。それが、八幡莉玖主将(政経4=新潟県立海洋)の相撲人生の始まりだった。

中学入学と同時に相撲の腕を上げるために親元を離れると、高校は強豪・新潟県立海洋高に入学した。しかし、167㌢と体格では周囲に引けを取っていた。それでも、自分の長所を「人一倍努力できること」と語る八幡は、試合に出るために誰よりも練習を積み重ねた。その成果が表れたのは高校2年次のインターハイ。大会前には体調を崩すも、団体戦でのレギュラーの座をつかみ取る。大会では立ち合いから相手を押し切る電車道を武器に3位入賞。「一番うれしかった」。これまでの努力が実を結んだ瞬間だった。

しかし、翌年のインターハイではメンバー入りを果たすことができず。「高校の同級生を倒したい」という思いを胸に、明大相撲部の門をたたいた。転機となったのは大学2年次。体調を崩し、医者からは「相撲はできない」と告げられた。体重も20㌔落ち、八幡の中でも「終わりなんだな」と諦めの心が芽生えていた。しかし、そんな時に支えとなったのは、応援し続けてくれた両親の存在だった。「自分が恩返しするには相撲で勝つしかない」。気持ちを奮い立たせ「諦めないで練習し続けた」結果、選手として復帰。その姿勢を買われ、今年度からは主将に就任した。

八幡は、今年度11月の全国学生選手権で、16年間の相撲人生に終止符を打つ。卒業後は地元・新潟で、指導者としてお世話になった方々に恩返しをしていくつもりだ。これまでの相撲人生を「悔いが残らないよう笑って終えるために」。周りの人への感謝を胸に、八幡は〝前へ〟突き進む。
(やわた・りく 政経4 新潟県立海洋 167cm・120kg)