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「中長期駿河台キャンパスを語ろう」

理事 尾島 育四郎

学校法人明治大学の中長期計画の策定について、2022年度から始まる第2次長期ビジョンと第3期中期計画の準備作業が行われています。その中の一つに経営企画理事の下で駿河台地区のさらなる発展の基となるべきさまざまな開発事業が計画されています。

開発に関して私の経歴を話すと、東京駅前京橋地区・八重洲中地区再開発事業に20年以上携わってきました。両地区の再開発は「地元地権者が戦前からの権利を保ちつつ100年後を見据えた地域発展」を目的としています。地元住民・企業・行政を中心とした開発で、15年の歳月を経て完成した日本初の開発事業であります。そして、現在も八重洲地区再開発を継続しており、大手不動産会社の単独開発とは一線を画す開発に携わっています。

私が地元目線で経験を重ねて感じたことは、開発事業は何よりも地元住民との融合理解が大切だということでした。そして、明治大学整備計画も地域発展を基礎として進むべきだと思うのです。持論ですが、「土地は天からの借り物」であり、権利者は感謝して地元発展に貢献するべしと考えております。2年前、金子光男前監事も「御茶の水地区再開発に向けて—歴史と文化の薫る潤いのある街づくり」というアイデアを、この「論壇」に寄稿されておりました(本紙第731号)。夢を語る、正に核心をついた寄稿だと思いました。

今、時代は変化を続けています。コロナ禍の中、オンライン形式授業の拡大化に伴って、教室の必要性が話題になることもあり、先をしっかりと見通せない状況です。経済界では一極集中からネットワーク化へと叫ばれて、今後はサラリーマンの転勤が無くなると語る大手企業のトップもいます。出生率減少は経済発展のブレーキを伴い、高齢化社会が進み、大学の存在すら危うくなりかねません。このような環境だからこそ、2~3年前までの世間で一般的だった利益優先の開発とは一線を画す、明治大学と地元住民の方々が融合理解をした開発が求められているのではないでしょうか。今こそ我々は具体的に10年後の完成を目指して結束して邁進するべきであり、時間もあまりありません。

駿河台キャンパスは都心に近く、高台に位置し、地盤強固な場所は他大学にない魅力的な地域です。難しい論評はさておき歴史・文化、古本街、楽器音楽、スポーツ本社街と魅力を感じる街であります。再開発計画案のグランドデザインを描く上で、「『個』を強め、世界に通用する明治らしさ」をコンセプトに、「大学のアジアのハブ化」を目指して行くべきでしょう。なお、私個人は目立つことなく、しかし力強く基礎を固めて貢献したいと誓っております。