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筑波大学附属駒場高校・前橋高校で特別授業を実施

教壇に立つ宮下教授(筑駒高)

明治大学は10月2日に筑波大学附属駒場中・高等学校(東京都)、10月16日に県立前橋高等学校(群馬県)でそれぞれ高校生を対象とした特別授業を実施した。この取り組みは大学の広報活動の一環として毎年複数の高校を対象に実施され、明治大学で行われている最先端の研究の紹介と主体的に学ぶことの重要性を高校生に伝え、大学進学や進路選択のきっかけとなることを目的としている。2021年度は6月の大阪・天王寺高校に続いて(本紙第752号既報)、2校目、3校目の実施となった。

筑波大学附属駒場高校で特別授業を実施

教室を飛び出し、最先端の犬型ロボットに触れる生徒ら

10月2日、筑波大学附属駒場中・高等学校で実施された特別授業には、総合数理学部の宮下芳明教授が登壇。同校の生徒20人に向けて、「2050年の未来をどう生きる?」と題して、技術革新による社会変化への対応力と未来を作る力の大切さを伝えた。

宮下教授は、ボーカロイド(家庭用PCで編集できる音声合成)技術が人間の歌唱力を高めるきっかけになったことなどを挙げ、技術革新と人間の関係について説明。さらに、実際に試作品を作って試す「プロトタイピング」を重ねて、その先に何があるのかを想像することの重要性を説いた。

最後に、「大切なことは変化への対応力と問題解決能力で、これらを育む場が大学。自分にとって無駄だと思うものを切り捨てないでほしい」と生徒らに激励のメッセージを送り、授業を締めくくった。参加した生徒からは、「失敗してもいいから何事でもまずはやってみることが大切だと学んだ」などの感想が寄せられた。

この特別授業の採録記事が10月28日発行の日本経済新聞朝刊(高校生特別版)に掲載されている。

前橋高校で特別授業を実施

化学の幅広さを紹介委する相澤教授 北欧の社会システムについて解説する鈴木教授化学の幅広さを紹介する相澤教授

10月16日、群馬県立前橋高等学校で実施された特別授業には国際日本学部の鈴木賢志教授と理工学部の相澤守教授が登壇。同校の生徒135人(文系92人、理系43人)が受講した。

鈴木教授は「『幸せな国々』北欧の社会システム」と題した授業を展開。自身がストックホルム商科大学欧州日本研究所で勤務していた経験も踏まえながら、「高福祉・高負担」で高い経済水準を誇るスウェーデンの社会システムや、税収を教育分野に手厚く分配していることへの国民の理解について解説し、「投票率が80%を超えるなど国民一人ひとりの政治への高い意識が、スウェーデンの社会システムを構築している」と指摘した。

相澤教授は「これからの医療とバイオマテリアル—化学からのアプローチ—」と題し、まず化学が物質の性質や変化などを対象とする幅広い研究領域を持つ学問であることを紹介した。さらに、骨と直接的に結合する水酸アパタイトなどの自身の研究テーマを取り上げ、「『化学』というモノづくりの立場から医工連携で研究を進め、産学連携で実用化につなげて患者さんに届くものをつくり、健康で活気ある社会の実現を目指している」と語った。

講義終了後には、生徒から「スウェーデンの若者の責任に対する考え方の違いが特に印象に残った」「化学の視点から再生医療に興味を持った」「教科書では学べない研究の話が聞けた」といった感想が寄せられ、大学での学びへの関心を高める有意義な機会となった。