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リバティアカデミー 明治大学創立140周年記念講座 「明治の伝統を考古学の未来に活かす」

黒曜石研究の成果を説明する島田学芸員 埴輪について解説する若狭准教授

明治大学の生涯学習機関・リバティアカデミーは10月9日、140周年記念講座「明治の伝統を考古学の未来に活かす」をオンラインで開催した。この講座は、本学の創立140周年記念事業の一つとして企画され、リバティアカデミーで最も人気のある分野である考古学をテーマに、無料のオンライン講座として実施。午前、午後の2部構成で行われ、延べ290人が受講した。

講座の冒頭、文学部の佐々木憲一教授が登壇した。佐々木教授は、本学の文学部史学地理学科の考古学専攻について、私立大学では日本で最初に日本史から独立した専攻として設置されたことや、日本考古学史に残る発掘調査を数多く実施してきたことなどを紹介。「明治大学の考古学の伝統を、今後どのように未来に活かしていくかということを2人の講師にお話しいただきます」とあいさつした。

午前の部は「黒曜石が明らかにする人類史」と題して、明治大学博物館学芸員の島田和高氏が講師を務めた。島田氏は、石器時代の黒曜石資源開発史や日本列島における現代人の定着に関する考古学的研究に携わっており、長野県中部高地にある黒曜石原産地から始まった明治大学の黒曜石研究の成果などを解説。「ローカルな黒曜石研究のケーススタディを積み重ねていくことで、グローバルな人類史の一部を形成できればと考えて研究に取り組んできた。これからもさらに研究が進められていくことになる」と締めくくった。

午後の部は「埴輪は語る」と題して、文学部の若狭徹准教授が講師を務めた。若狭准教授は、文化財保護行政に長く携わった経歴を持ち、今回の講座では3世紀頃から前方後円墳とともに現れ、約350年で消滅した埴輪の歴史などを紹介した。若狭准教授は、後期に現れた人物埴輪群像について、首長の政を共同体に認識させ、社会結集させるための仕掛けだったと解説し、最後に「明治大学博物館に展示されている玉里舟塚古墳から出土した埴輪をぜひ見に来てください」と受講者らに語り掛けて終了となった。

受講者からのアンケートでは、「研究の奥深さをよく理解できた」「黒曜石を通してここまで人の足跡がわかることに驚いた」「人物埴輪が古墳時代の成熟期や終焉と深いつながりがあることを学べた」といったコメントが寄せられるなど、考古学研究の一端に触れられる貴重な機会となった様子だった。