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第614回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「負けず嫌いが原動力。集大成として目指すは日本一」少林寺拳法部 田中 綾

文/西村ジェシカ美夕(情コミ2) 写真/桐山 雄希(2021年商卒)



「自分以外の誰かが褒められていることが許せなかった」。極度の負けず嫌い。田中綾(政経4=清瀬)が成長し続ける理由はそこにある。

小学生で黒帯を取得し、実力は折り紙付きだった。しかし清瀬高に入学し、自分より段位が下の部員の強さに圧倒される。そこで田中の負けず嫌いが発揮された。他の部員が褒められると「なんで私じゃなくてあの子が褒められているの」。闘争心に火がつき、誰よりも集中して練習に取り組んだ。その集大成として挑んだ3年次のインターハイだが、2位という結果に終わる。あまりの悔しさに田中の目からは大粒の涙がこぼれた。「全国優勝するまでやめたくない」。大学でも競技を続けることを決意し、強豪・明大の門をたたいた。

「清瀬を捨てて明治に染まる」。型の癖が強い自分を見直し、明大の型に忠実になろうと先輩に教えを仰いだ。2年次には「超えたい存在だった」と話す金子晴香(2021年政経卒)と組むことに。できていないところをはっきりと指摘する金子に「最初は悔しいを通り越して悲しかった」。自分のふがいなさに打ちのめされながらも、金子との練習は田中の力強さを格段に向上させた。迎えた2年次の全日本学生大会。「勝てるという思いがあった」。自信を持って臨んだ大会で悲願の全国優勝を果たした。

今年度11月7日に行われる全日本学生大会で競技人生に終止符を打つ。出場部門は三人掛け。女子部門での出場がほとんどだった田中にとって、男子2人と組む新たな挑戦だ。練習では2人に力負けしてしまう現状に難しさと不安を感じている。しかし「私は負けない。自分ならできる」と言い聞かせ、果敢に挑み続ける。「優勝するからには圧倒的な演舞を」。誰よりも負けず嫌いな彼女の、最後の挑戦が始まる。
(たなか・りょう 政経4 清瀬 156cm)