Go Forward

式辞 理事長 柳谷 孝



本日ここに、寬仁親王妃信子殿下のご臨席を仰ぎ、また、文部科学大臣代理 事務次官 義本博司様、経済産業大臣 萩生田光一様、一般社団法人日本私立大学連盟会長 田中愛治様、日本私立学校振興・共済事業団理事 小谷隆之様、大学基準協会会長 永田恭介様をはじめ、多くのご来賓、ご関係の皆さま方のご臨席を賜り、明治大学創立140周年記念式典を執り行うことができますことは、誠に光栄であり、学校法人明治大学を代表し、衷心より御礼申し上げます。

本学は、1881年に志高き20代後半の3人の若者により創立されました。当時の日本は、封建社会であった江戸時代が終焉し、社会構造が大きく変化した激動の時代でありました。西欧諸国をモデルにした日本の近代化が急務である中、フランス法を学んだ岸本辰雄先生、宮城浩蔵先生、矢代操先生が、近代化に不可欠である「法学」を日本に普及させ、新しい世を作らんと学校を設立しました。それが明治法律学校であり、現在の明治大学であります。これまで約58万人の卒業生を輩出しましたが、開校当時の熱き想いは「権利自由」「独立自治」の建学の精神として、清冽な地下水のごとく、今日まで脈々と受け継がれています。現在では、10の学部および大学院12研究科、高度専門職業人の養成を図る専門職大学院4研究科があり、さらには付属高等学校・中学校をも擁するわが国屈指の総合大学として、その地位を確固たるものにしています。

さて、創立130周年となった2011年から現在までの10年間を振り返りますと、62年ぶりの新キャンパスとなる中野キャンパスや最先端の研究拠点となるグローバルフロント、そして外国人留学生と地方出身の日本人学生が「共に生活し、学ぶ場」である国際混住寮「明治大学グローバル・ヴィレッジ」など、さまざまな施設を整備し、教育研究の情報化やグローバル化を推進してまいりました。

さらに、財政の健全化にも積極的に取り組み、前理事会の最終年度である2019年度決算においては、企業の当期純利益に相当する基本金組入前当年度収支差額が2010年度以来9年振りに30億円を超えました。学費改定や収容定員増を実現したことや、水光熱費をはじめとするコスト削減、そして校友やご父母をはじめとする皆さま方からのご寄付が伸びたことが、財政の改善に大きく寄与しております。

また、今なお世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に対しては、教学と法人が一体となってさまざまな学生支援を推し進めてまいりました。コロナ禍における今理事会の役割は、第一に学生と教職員の健康と安全を守ること、また、その基盤となる大学業務の継続性を守ることでありました。まずは生活困窮学生やオンライン環境整備のため約21億円の学生支援を行い、さらに他大学に先駆けて、今後とも起こりうるであろう災害等で学生達の修学機会が奪われることのないよう「明治大学学生・教育活動緊急支援資金」という10億円規模のファンドを立ち上げ、支援を続けています。本学での学びを生かして、世界の抱える課題を解決へと導いていく学生たちが一人でも多く社会へと巣立っていけるよう、校友をはじめとするステークホルダーと「同心協力」し、この難局に引き続き立ち向かってまいります。

一方、創立140周年記念事業につきましては、コロナ対応とそれに伴う学生支援を最優先し、費用面ではコンパクトに、しかし、内容的にはインパクトのあるものにするという方針といたしました。ここでは140周年記念事業を代表する2つの事業をご紹介させていただきます。

まず1点目は、和泉キャンパスにおける新教育棟「和泉ラーニングスクエア」の建設です。「初年次教育」、「教養教育」、「国際教育」という教学のコンセプトに基づき、アクティブラーニングやハイブリッド型授業といった次代の教育拠点として、2022年3月に竣工予定です。

2点目は、「明治大学子どものこころクリニック」です。3歳から15歳の子どもとその家族を対象とした「児童思春期の精神科医療部門」として本年1月15日に開設いたしました。医学系の学部のない本学がクリニックを開設したことは、公認心理師や臨床心理士を目指す本学学生の研修機関としての役割を果たすと同時に、地域に開かれた医療機関として「誰一人取り残さない社会の実現を目指す」というSDGsの理念に合致した取り組みでもあります。

これらの各種記念事業を支える「創立140周年記念事業募金」や、先程申し上げました「明治大学学生・教育活動緊急支援資金」に対しましては、本日ご臨席の皆さま方からも多大なるご協力を賜りました。改めまして御礼申し上げます。

なお、本日は、創立150周年という大きな節目となる2031年に向け、第2次長期ビジョン「MEIJI VISION 150 —前へ—」を発表いたします。明治大学校歌の3番に「我等に燃ゆる希望あり いでや東亜の一角に」という一節があるように、本学がこの21世紀にアジアのトップユニバーシティ、そしてアジアのハブとして未来に輝き続けていくために、ビジョン実現に取り組んでまいります。次の創立150周年、更にその先も皆さま方と共に「前へ!」と邁進してまいる所存です。

結びになりますが、本日、ご臨席いただきました皆さま方をはじめ、本学をこれまで支えてくださったすべての方々に改めまして感謝を申し上げますとともに、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。本日は誠にありがとうございました。