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「職員の存在を考える」 理事 岸上 謙司

本学創立150周年に向けた「MEIJI VISION 150—前へ—」が創立140周年記念式典において発表された。5つの全学ビジョンすなわち大学経営、教育、学生支援、研究、社会連携・社会貢献で掲げられた目標を達成するために教職員が一丸となり、与えられた役割を通して全力を尽くしていくことが求められている。全てにおいて職員が深く関わることはもちろん、いかに当事者意識を持って教職協働で取り組めるかに成否がかかっているといえる。特に大学経営における全学ビジョンの重点目標の一つとして、職員人事政策・事務組織が掲げられていることは職員のさらなる重責に対する期待の表れと捉えたい。

法人が設置する全ての学校にはおのおの設置基準が定められており、中学校を除くそれには、事務職員の配置、事務組織の設置という記述がある。特に大学には専任の職員を置くとされており、本学には現在594名が在籍(事務職員は577名)している。事務職員の約19%は既卒採用者が占めるまでになっていることから、良い意味で仕事に対する考え方も多様化している。今後は新卒者と既卒者のベストミックスを探りながら、メンバーシップ型だけではなくジョブ型の採用なども検討していく必要があるだろう。

ちょうど1年前の2月に中央教育審議会の大学分科会がまとめた報告書には、これまでフォーカスされることが少なかった職員に関する重要な記述がみられる。少子化が加速する中で起きたコロナ禍の影響、さらにはDXや国際化の加速度的な展開を見据えた管理運営の担い手としての事務職員のスキルアップが求められている。教学面における職員の業務処理能力の向上のみならず、大学経営やマネジメントといった視点で、大学を動かす存在とならなければならない時代の到来を示唆していることに他ならない。

このような環境変化の中で、これまで以上に管理運営業務を職員が担っていくという発想への転換を促す研修制度の拡充なども重要であるが、何にもまして重要なのは、仕事を通して大学の発展に寄与していくというプライドを持った職員を育成する責任の重さを理事会として共有しなければならないことである。「MEIJI VISION 150—前へ—」を実行に移すための中期計画においても、人事政策の方向性が職員に対して示されている。将来予測とやるべき事を明確化し、職員一人ひとりがそれにしっかりと応えていくというベクトルを合わせることが課題ではないだろうか。

3月末には職員の発案による新たな学生の交流スペースがリバティタワー2階に誕生する。さまざまな課題を乗り越えた仕事の結果を楽しみにすると共に、利用する学生の満足度を高めるための工夫を凝らしながら、さらに「前へ」進んでいってもらいたい。
(財務部長)