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本棚 『新行動経済学読本 — 地域活性化への行動経済学の活用—』 水野 勝之、土居 拓務 編著(明治大学出版会、税込2970円)



「地域活性化のコツ」「地方創生のカギ」などは自治体に限らず研究者や民間など多くの方々の関心事であろう。しかし、「ある地域が成功した要因は何か?」「成功させるにはどうすればいいか?」と問われて回答できる人はまれである。地域の成功には複雑な要因が絡み合う。本書はその問いに対して行動経済学の切り口から考察する、斬新な内容となっている。

行動経済学は、従来の経済理論で説明されなかった人間の非合理性に着目した理論であり、複雑な地域の成功・失敗事例を説明するのに適しているとも考えられる。

著者らは2006年以降地域活性化研究に従事しており、本書にはこれまで関わったのであろう多くの地域の実事例が紹介されている。そして、成功・失敗事例の要因について行動経済学的な視座から説明がされている。

本書は地域政策を考える際のヒントになるだけでなく、行動経済学の基本書としても活用できる。地域を研究したい方、行動経済学を学びたい方にお勧めの一冊である。

山下洋史・商学部教授(編著者は商学部教授。商学部兼任講師、研究・知財戦略機構客員研究員)