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第627回ズームアップ

「ヨットで学んだコミュニケーション人生の追い風となれ」ヨット部 今村 紗栄

文/豊澤 風香(文2) 写真/佐野 悠太(政経2)



高校から競技を始めた今村紗栄(商4=長崎工)。「高校で目標としていたインターハイ優勝を達成できなかった」その悔しさから大学でも競技を続けることを決意し、明大ヨット部の門を叩いた。

大学から競技を始める部員が大半を占める明大。経験者には大きな期待がかかるが、だからこそ感じる苦労もある。「(使う船は)高校よりも大きく、パワーが必要で慣れるのが大変」。また、大学におけるヨット競技は基本的に男女の区別がない。男女が同じ舞台で活躍できるという魅力もあるが「パワーの差を埋めるのには苦労した」。そんな中でも全体での練習以外に自主練を重ね、めきめきと実力を上げていった。

4年生になり、副将に就任した今村。「元々リーダーをするタイプではなかったので、できるか本当に不安だった」。それでもチーム内でコミュニケーションをとるために、定期的に部員と個人面談を行うという新たな試みを始める。「一人一人に向けたアドバイスができたのでチームをいい雰囲気にできた」。経験者だからこその目線で、チームの底上げに尽力する副将へと成長した。

2022年11月6日。ついに引退試合となる全日本学生選手権(以下、インカレ)が閉幕した。結果明大は470級で10位。目標としていたインカレ優勝には届かなかった。しかし心の中にあったのは確かな達成感。「結果はついてこなかったが、全日本にも行けて最後までやり切ることができた」。卒業後、選手としては競技から離れる今村にとって、今試合が選手人生最後のレース。「苦労したこともあったがそれを超える楽しさがあった。ヨットをやっていて良かった」。新たな人生に向けて、今村の船は再び出廷する。
(いまむら・さえ 商4 長崎工業 156cm)