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理工学研究科 建築・都市学専攻総合芸術系-作品展「朔太郎と歩く」

展示の様子(写真=篠田優)

萩原朔太郎(1886-1942)は近代日本最大の詩人。特異な感受性をもって日本語にまったく新しい次元をつけ加えた。2022年はその没後80年に当たり、彼の生地にある前橋文学館の呼びかけにより、各地で「朔太郎大全2022」という統一テーマのもとに種々の展示が開催されてきた。

理工学研究科建築・都市学専攻総合芸術系でも、生田図書館Gallery ZEROを舞台に「朔太郎と歩く」と題する作品展を企画した(2022年12月1日〜24日)。展示の要は5人のゲスト詩人による朔太郎にささげる詩。暁方ミセイ(理工研ディジタルコンテンツ系修了生)、新井高子(埼玉大学准教授)、小島敬太(シンガーソングライター)、田野倉康一(本学文学部卒業生)、坪井秀人(早稲田大学教授)のみなさんから、熱のこもった新作を寄稿していただいた。総合芸術系スタッフからは、清岡智比古と管啓次郎が加わった。

さらに総合芸術系の倉石信乃と篠田優(博士後期課程)による映像作品「国定忠治の墓2022」、山本洋平と音楽家・富山優子による「朔太郎の櫻」、ディジタルコンテンツ系修了生の写真家・笠間悠貴による写真連作「赤城山」などが展示されている。展覧会題字は総合芸術系修了生の松尾理絵。特筆すべきは朔太郎自身が末妹アイを撮影したステレオ写真で、前橋文学館学芸員・松井貴子(ディジタルコンテンツ系修了生)が解説を付している。

こうして視覚芸術と文学、美術・デザインや思想史までをカバーする総合芸術系の特色がよく出た展覧会ができあがった。銀杏の黄葉がしきつめる木立の雰囲気のもとに、このギャラリーでの展示を開催できるのは今年で最後。小さなものを愛する朔太郎の魂にみちびかれた作品展となった。(生田図書館事務室)