Go Forward

多文化共生社会の実現に資する人材育成そのためのキャンパス整備にご理解とご協力を

理事会の取り組みを報告する柳谷理事長

柳谷孝理事長は昨年10月8日、寄付者アドバイザリーボードを和泉ラーニングスクエアで開催。大学役員と紫紺賛助員ら40人が参加しました。同日午後には、父母会が寄贈したグランドピアノのお披露目コンサートが催され、明治大学創立140周年記念事業募金に一定金額を寄付され「座席芳名プレート」の対象となった方など招待者約300名が、学生たちによるピアノ演奏や混声合唱団の歌声に聴き入りました。

寄付者アドバイザリーボードは、本学への多様な意見を求めることを目的に、2018年に開始されました。20・21年はコロナにより中止されましたが、徹底的な感染対策を講じて3年ぶり3回目の開催となりました。特に今回は、明治大学140周年記念事業として竣工し、2022年4月から利用が開始された和泉ラーニングスクエアが会場として選ばれました。まだ外構工事や第三校舎などの工事が行われている最中ではあるものの、本学が取り組む「学生主体の学びの場」整備の現在地を見ていただこうという柳谷理事長のリーダーシップで実現しました。

椅子も机もない、階段状になった新しいスタイルの「カイダン」教室であいさつに立った柳谷理事長は、2020年4月に発足した理事会がこれまでに行った取り組みなどについて説明しました。

一つはコロナ対応。18年には50講座しかなかったオンライン授業が、現在1万6000講座、ほぼすべての授業で行われています。学生支援のために総額21億円をあて、生活困窮学生に対する1人10万円の支給や、全学生を対象にしたオンライン環境の整備などを行ったことを報告しました。

また今後、不測の事態にも速やかに学生支援が行えるように「明治大学学生・教育活動緊急支援資金」というファンドを立ち上げたことも紹介しました。

さらに、一昨年に明治大学が140周年を迎えたこと。その記念事業の目玉として和泉ラーニングスクエアが、校友の方々や、父母会の支援によって完成したことに理事長は、「この場を借りて厚く御礼申し上げます」と感謝の言葉を述べました。また、21年度決算は収支差額がプラス35億円だったとしたうえで、今後20年間に建て替えや修繕が必要な施設が15棟見込まれることなどから、31年度までに収支差額を、さらにプラス50億円とする目標を掲げ、それに向けた取り組みを進めていくための支援と協力を求めました。

続いて大六野耕作学長が、「いま、いちばん必要な教材はキャンパスだと思う」をテーマに講演しました。これからの大学は、教員が一方的に教えたものを習得し、再生産するという従来の学びではなく、それについて議論が交わされることが大切です。「キャンパス全体を議論できる空間」にしたいと熱く語りました。

また、生田キャンパスにおいても同じコンセプトに基づく新校舎の建設計画が進行中(25年3月竣工予定)であることが紹介されました。

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https://youtu.be/gYnGmQpbQAo

「同心協力」未来をつくる学生さんのために

募金にかかわる担当理事で、今回の寄付者アドバイザーボードなどの総合プロデューサーを務めた経営企画担当常勤理事の大原幸男は、「未来をつくる学生さんたちのために、これからも私たちは、キャンパス整備をはじめ、すべてのことに全力を注ぎます」と決意を述べました。その一部を抜粋掲載します。

経営企画担当常勤理事 大原 幸男

企業の駐在員として1977年から2度にわたりトータル15年間、アメリカ西海岸のシリコンバレーで生活をしていた大原は、留学する学生さんに対して、「海外での生活をエンジョイすることは大切だ」として上で、「絶えず自分は外国人であるということを意識する必要がある」と注意を促します。「かといって過度に憶病になる必要はない。できるだけ日本人以外の人々との交流を深めることを推奨したい」とその背中を押します。

また海外では、必ずしも「沈黙は金」ではないとも。自分の意見を言わないことは、意見が無いからだと思われてしまうこともある。逆に、自分の主張をまくし立てるよりも、聞き上手であることの方が効果的である場合もある。言語においても、何の違和感のない日本語が英訳出来なかったり、その逆で英語の適切な日本語訳がなかったりする。これらの違いは、精神や生活様式に根ざした文化に基づいている。そういった文化の違い、多様性を理解し、認め、尊重する。包摂的な寛容さを身に付けることが大切だ。そのためには、自ら学ぶ意欲を持って異文化理解を深める必要があり、そういったことが自然発生的に日常化している場としてのキャンパスが必要だと訴えます。

そして、その一つの形が和泉ラーニングスクエアだといいます。同級生や先輩と、学び合える空間。リモート授業にも、没頭できる空間。キャンパスにいながら、安らげる空間。そういったキャンパスにおいて、積極的にグローバルマインドを養って欲しいと期待を込めます。校歌にも歌われる、「いでや東亜の一角に時代の夢を破るべく」と、未来をつくる学生さんたちが、燃ゆる希望をもって世界へ目を向ける。そんなキャンパス整備にも全力を注ぎたいと決意をあらたにしました。