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学生注目!学生相談室でお待ちしています!



学生相談室相談員、第二東京弁護士会人権擁護委員会嘱託弁護士 月岡 真美子

学生相談室では、進路や就職、対人関係の相談などの他、法律問題についての相談にも対応しています。普通に学生生活を送っているだけでも法律的なトラブルに巻き込まれてしまうことは珍しくありません。しかし、大学生が独力で法律的なトラブルを解決するということは難しいでしょう。また、誰にも相談せずに独力で解決しようとすると、より被害が拡大してしまうこともあります。ここでは法律相談の事例や学生相談室の活用法についてご紹介したいと思います。

成年年齢の引き下げの影響

学生相談室に寄せられる法律相談の内容は多岐にわたっていますが、消費者被害やアルバイトのトラブルの相談が特に多いです。具体的には、友人から「必ずもうかる」と高額な情報商材を売りつけられた(情報商材詐欺)、1人暮らしのアパートでトイレの修理を頼んだら高額な費用を請求された(レスキュー商法)、アルバイトの給料を払ってもらえない(ブラックバイト)などの相談です。

消費者被害の問題については、民法が改正され成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことも大きく関係しています。未成年者の間は「未成年者取消権」というものによって保護されているため、よく考えずに契約をしてしまった場合でも取り消すことが可能でした。

例えば、アルバイトというのは労働契約です。またパソコンの購入は売買契約、1人暮らしをするためにアパートを借りるのは賃貸借契約、お金を借りるのは消費貸借契約です。このようなさまざまな契約を有効に行うためには未成年者のうちは親権者の同意が必要とされていますが、18歳になれば親権者の同意がなくても1人で有効な契約をすることができるようになったのです。つまり、大学生は1人で借金をしたり高額な商品を購入したりすることが可能となり、またいったん契約をしてしまった後は簡単には取り消すということができなくなってしまったのです。悪質な業者はここに目を付けて、大学生の取り込みを謀っています。高額な情報商材を大学生に売りつける、お金がない大学生には借金をさせる、もうからなかった場合には同級生を勧誘させる……などのマニュアルができているのです。私が学生相談室の担当になってからまだ2年経っていないのですが、このような相談は後を絶ちません。

学生相談室の活用方法

学生相談室では、学生がトラブルに巻き込まれた場合に原因を突き止めて適切な機関につなぐこと、または自分で解決する場合の助言を行うことを目的としています。学生の代理人として弁護活動を行うことはできませんが、学生が抱えている悩みが少しでも軽減されるように一緒に解決方法を考えます。

例えば、借金問題で相談に来た学生から話を聞いてみると、借金の原因は情報商材詐欺だったなど、学生本人が考えている悩みの原因と専門家の目から見た原因が異なっていることも珍しくはありません。メンタルの不調で相談室を利用したら原因は法律問題(ストーカーに悩まされているなど)だったなど、他の分野にまたがる相談もよくあります。まずは学生の話をよく聞き、悩みの原因はどこにあるのか、その悩みを解決するためには外部の専門機関(法テラスや消費生活センターなど)を利用するべきなのか等を判断します。

また、「現時点では具体的なトラブルにはなっていないものの、将来的にトラブルに巻き込まれないか心配」というような相談も歓迎です。これから始めようと思っているアルバイトがどうも怪しい、学生のうちに起業したいが注意点を知りたい、などという相談でも構いません。

その他、学生相談室ではブラックバイトなどに関するセミナーも定期的に開催しています。1人で悩まずに、ぜひ学生相談室に足を運んでください。