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第629回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ

「全てのことに全力に」体操部 渡辺 匠郎

文/島田 五貴(文1) 写真/渡辺 悠志郎(情コミ2)



「体操だけが人生じゃない」。今年度体操部に期待の新人としてやってきた渡辺匠郎(経営1=大垣商)。高校3年次には個人、団体ともにインターハイ出場を果たしている実力者には体操だけではない、彼の人生があった。

渡辺が体操と出会ったのは小学2年次。体操に対する第一印象は「怖そう」。しかし、その恐怖心は競技に没頭していくうちに自然と消えていった。高学年になると県大会優勝、全国大会入賞などの結果を残した。この頃から「大会が大きくなるにつれて自分の成長を感じ、体操が楽しくなった」と体操にのめり込んでいった。高校は地元・岐阜県の大垣商高へ進学するも、1年次の冬にケガをしてしまい思うように体操ができない苦しい時間に。ケガが完治しないままコロナ禍の自粛期間が終わり迎えた最初の大会。満足のいく結果は出せず不完全燃焼に終わり、人生最大の挫折となった。そんな渡辺を救ったのは親からの「大学は体操だけにこだわらずに決めてほしい」という言葉。この言葉で渡辺は「世界が広がった気がした。体操だけが人生じゃないと知ることができた」。そこから渡辺は以前から興味のあった英語の勉強を始める。大学も興味のあった経営の分野を学ぶために経営学部へ進学。一時は自分から体操をとったら何が残るのだろうと悩んだ時もあったが、体操以外に熱中できるものを見つけることができた。

現在は体操部の活動に励みながらTOEICの勉強と中小企業診断士の取得を目指している。忙しい生活ではあるが「結果ばかりにこだわっていた高校と違って大学は楽しい」と今を楽しんでいる。そんな渡辺の大切にしている言葉は「全てのことに全力に」。文武両道のエースは一日一日を全力で駆け抜ける。
(わたなべ・たくろう 経営1 大垣商 158cm・58kg)