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ウィズコロナ時代の明治大学 第2回:②中野教育研究支援事務室(学生相談室担当)小暮 富美恵さん

明治大学は、対面授業7割実施を目標として2021年度の授業をスタートさせました。コロナ禍での対面授業再開に向け、多くの教職員が一丸となって準備に当たってきました。今回は、学生の経済支援、課外活動支援、健康・保険に関する支援など「学生支援」の多岐にわたる業務の中から、奨学金業務、学生相談業務に携わる2人の職員の思いを紹介します。

<こちらの記事は、明治大学広報第750号(2021年6月1日発行)に掲載されたインタビューの全文になります>

第2回「ウィズコロナの学生支援②」中野教育研究支援事務室(学生相談室担当)小暮 富美恵さん

——2020年度、緊急事態宣言の発令を受けて、大学ではオンライン授業中心の体制となりました。学生相談の形も変わったと思いますが、いかがでしたか?



本来「ぜひ気軽に立ち寄ってくださいね」という学生に開かれた場所ですが、来てもらうことができなくなりました。2020年度は新入生向けのガイダンスも対面では行えなかったので、まずは「学生相談室がある」ということを知ってもらわなければならないという思いでした。
——そのような状況の中で、5月7日には新学期が始まりましたね。
4月の間は教員・カウンセラー・精神科医・弁護士などの相談員に来ていただくことができず、職員が交代で電話対応を行っていました。一方で、さまざまな事情で相談室から継続的なサポートが必要な学生もいましたので、電話やオンラインでの相談対応ができる仕組みをなんとか整え、5月から相談員による対応を再開しました。その後、大学の活動制限指針に基づき、一部対面相談も行いましたが、年間を通じて約9割が電話もしくはオンラインでの遠隔相談対応となりました。
——オンライン授業中心の状況下で、新入生に学生相談室を知ってもらうためにされたことはありますか?



例年、ガイダンスで配布している「新入生応援BOOK」の内容や、利用案内に関する動画を大学ホームページとOh-o! Meijiを通じて発信しました。さらに、6月かららWeb会議システムなどを活用したオンライン行事を開始しました。年間で約50行事を開催し、約1,000人の学生の参加がありました。
——どういった内容の行事なのですか?
体を動かしたり、声を出したり、気分転換に役立つヨガやボイストレーニングのレッスンをはじめ、コミュニケーションスキルのワークショップ、海外旅行や留学に行けない学生のために写真や資料とともに相談員の教員が世界各国を紹介するオンライントリップなど、さまざまな企画を、主に学生の昼休みの時間を中心に開催しています。中野学生相談室には英語や中国語での対応が可能なカウンセラーがおりますので、全編外国語での行事は中野キャンパスが中心になって開催しました。
——他キャンパスに所属する学部の学生も参加できるので、オンライン行事には良い点もありますね。
そうですね。以前は他キャンパスからわざわざ来る学生も多くはありませんでしたね。特に昨年は、学生の皆さんも家から出られない状況でしたので、想定していたよりも多くの学生が参加してくれました。参加者アンケート結果では、在宅でも参加できることが喜ばれ、行事を通じて学生相談室を知ったという学生が少なくありません。
——手探りながらも、新たな試みに次々と挑戦されたのですね。オンラインでの支援中心になって、何か新たにわかったことなどはありますか?
在宅期間が長期化したことによって家族関係が悪化してしまったという相談や、アルバイトができず経済的に困窮している学生からの相談を受け付けることもあります。

また、ホームページで情報を発信していますが、学生相談室のページまでたどり着けない学生もいるでしょう。Oh-o! Meijiでのお知らせも同じ時期に学内のいろいろな部署から一斉に送られていますので、情報が埋もれてしまい、学生相談室の存在を知らず、一人で悩みを抱える学生が心配です。
——同級生と対面でのコミュニケーションの機会がなく、孤立している学生もまだいるかもしれませんね。
人とのつながりを求める学生をターゲットにした悪徳商法など、コロナ禍を要因とする問題が顕在化してきています。SNSのダイレクトメッセージで、「学生みんなで集まろう」と誘われてオンラインのミーティングに参加すると、実はそこに集まっているのは悪徳商法のサクラで、周りに促されて高額の契約を結んでしまった、というような事例も起きています。友達や先輩後輩のつながりを利用したマルチまがい商法の被害の相談なども毎年受けていますが、コロナ禍でもそれは変わりません。
——ご父母の皆さまには、改めてお子さまの交友関係などにも目を配っていただければ、ということですね。
また、授業はオンライン中心に切り替わりました。授業動画を繰り返し視聴することで理解が促進された学生や、課題の内容・提出期限がOh-o! Meiji上に明記され、可視化できたことで提出ができるようになった学生などがいます。発達に特性を持つ学生にとって、理解しやすい授業形態がオンライン授業をきっかけに明らかになりました。
——コロナ後も、オンライン授業や対面授業とのハイブリット型が取り入れられることで、教育の質も上がるかもしれませんね。最後に、学生やご父母の皆さんにメッセージをお願いします。



学生相談室は「精神的な問題を抱えた特別な人が行くところ」と捉えられがちですが、自身の問題を解決しようと考えている学生、自身のことをもっとよく知りたいと考える学生、誰かと話してみたい学生など、さまざまな方にとって気軽に利用できる場所です。

また、学生に関するご父母からの相談も受け付けています。学生の皆さんはOh-o! Meijiから配信している情報・動画や、自宅からご父母もご覧いただける大学ホームページの学生相談室のページなどをぜひご覧になってみてください。さまざまなオンライン行事や、予約不要で教員と雑談ができるオンラインCafeなども開催しています。この機会に、学生相談室があることをさらに広く知っていただき、気軽に利用していただきたいと考えております。