Go Forward

ウィズコロナ時代の明治大学 第4回:入学センター事務室 楮原 航平さん

志願者約10万人を集める明治大学の一般選抜。コロナ禍での入試の裏側で、感染症対策に奔走した職員の思いを紹介します。
 
<こちらの記事は、明治大学広報第752号(2021年8月1日発行)に掲載されたインタビューの全文になります>

第4回「2年目を迎えるウィズコロナの入試運営」入学センター事務室 楮原 航平さん

——昨年度、2021年度入試において、コロナ禍での実施に向けて行われた準備についてお聞かせください。



会場の消毒や来場者の動線管理、発熱者や濃厚接触者への対応方法の検討など、感染対策について多岐にわたる項目を洗い出し、シミュレーションしました。また、罹患者などに対する特別措置の他、結果的には実施されませんでしたが、不測の自体に備えて追試験の準備も行いました。
——昨年度は初めての緊急事態宣言の発令などもあり、大学も急きょオンライン授業に切り替えるなど、各部署で対応が進められていましたね。
まず政府の大方針があり、それが文部科学省の方針に反映されて、大学の運営に降りてくる……という流れがあります。コロナ禍での入試に関する文部科学省の方針が示されたのは春学期中のことでした。感染状況や政府の方針などが日々変化する状況でしたが、まずはそれらの情報を整理しました。そして、入試実施に当たって大学で元々行っていた対応と、新たな施策が必要なことを洗い出して、項目ごとに漏れがないように対応方針の素案を作っていきました。
——試験実施に向けて、半年以上の時間をかけて取り組まれていたのですね。
入学センター運営委員会という会議で大きな方針を決めて、事務側では関係部署の方々と打ち合わせや連絡会を開催し、各部署でそれぞれ集めてきた情報を共有していました。細かいものも含めれば毎週のように会議を行っていましたが、状況が刻々と変わり、振り返ってみるととても大変な作業でした。
——本学では一般選抜は、2月5日の全学部統一入学試験を皮切りに、10学部それぞれで実施されます。11日間の一般選抜を終えられていかがでしたか?
課員一同ほっとしたのが第一でした。仮に途中でトラブルが起こって後半の日程の試験が丸ごと中止になるようなことがあれば、延期や追試験などの対応が必要になります。人員確保や財政面も大変ですが、何よりも多くの受験生の皆さんの人生を左右することになってしまいますので、無事終えられて本当に良かったです。
——実施してみて率直に感じられたことは?
11日間を通じて受験生の皆さんがとても冷静で、大きな混乱がなかったことが印象的でした。

また、追試は行わなかったのですが、追試に代わるものとして、発熱者や濃厚接触者となってしまった方に対して、大学入学共通テストの結果を用いた合否判定を行うという救済措置を実施しました。入試期間中に東北地方で地震が発生し、急きょ来られなくなってしまった受験生の方もこの措置が適用となりました。
——特別措置を利用された方はいたのでしょうか?
全体からするとわずかな人数ですが、利用された方はいらっしゃいます。3月に追試を行う選択肢もありましたが、感染状況が見えない中でもう一度東京に集められるのかどうかということを議論しました。併願者が多い他大学の対応状況なども確認し、共通テストを利用するということでまとまりました。
——試験実施を終えて、次年度に向けて改善点はありましたか?
昨年はコロナがどういった病気なのか分からない部分が多く、冬期の感染状況も見通せなかったため、方針決定に時間がかかりました。2022年度実施に向けて、方針決定と共有を迅速に行い、引き続き受験生と入試に携わる教職員の双方が安心・安全な環境で実施できるよう、さらなる工夫ができればと考えています。
——最後に、受験生やご父母へのメッセージをお願いします。



感染症への不安だけでなく、入試の情報が入ってこない、キャンパスを見に行けないなど、情報不足を感じられている受験生やご父母が多いのではないでしょうか。入学センター事務部では、オンラインでのオープンキャンパスなど積極的に情報発信をしています。分からないことがあれば気軽に大学に連絡していただきたいです。

そして、2021年度入試で行った感染対策は継続し、質を落とさずに取り組んでいくので、受験生の皆さんには安心して来校いただき、集中して実力を発揮していただければと思います。