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合格者体験談(2024年度)

2025年3月修了見込 S.K

合格体験記
 
1. 短答式の勉強方法
 私は、静岡県から新幹線で通学していたため、帰りの新幹線の時間を短答式の勉強に充てるという形で、通学時間を有効活用していました。
 使用していた教材は、『体系別短答式過去問集』(早稲田セミナー出版)です。
『短答過去問パーフェクト』(辰巳法律研究所出版)と迷いましたが、価格の安さや解説の薄さ(回し易さ)に惹かれ、前者を選びました。
 勉強方法については、2年の夏季休業期間中に司法試験に合格した先輩から、
「1日5問解けば、1年で1825問解ける」というお話を伺い、数問でも良いので毎日欠かさず解く、ということを心掛けました。
 そのため、短答式の勉強が億劫にならないように、間違った肢については、解説の重要な箇所にマーカーで線を引く程度の復習にとどめ、
判例六法への書き込みや、解説の入念な検討などはしませんでした。
また、解答を覚えてしまうことを厭わず、とにかく問題を回すことだけに意識して取り組みました。
 直前期(1,2ヶ月前)においては、1日30問から50問ほど解くというように勉強方法をシフトチェンジしたため、結果として問題集を3周ほど回すことができました。
 
2. 論文式の勉強方法
 私は、司法試験とは縁遠い地方の国立大学から、明治大学法科大学院の既修コースに進学しました。
 ロースクール入学当初は学部時代に、司法試験に関する情報など一切なく、答案添削の機会も一度もないという環境下で過ごしたため、
第1→1.→⑴→ア→(ア)→a→(a)の順番や、「よって」書きの使い方など、答案の書き方すら分からない悲惨な状態でした。
 使用していた教材について、ロースクール入試の際は、『合格論証集』(アガルート出版)という、論証集を活用していましたが、
意味も分からないまま長々と論証を貼り付けた、いわゆる予備校答案を作成していたことへの懸念や、
教育補助講師の先生のお勧めもあり、『趣旨・規範ハンドブック』(辰巳法律研究所出版)に乗り換え、
選択科目については、『論文対策1冊だけで労働法』(辰巳法律研究所出版)を活用しました。
 勉強方法については、2年の夏季休業期間中に、1日1起案という縛りを設け、1日も欠かさずに起案し続けました。
 最初のうちは問題文を読むことすら苦痛で、何が論点かも分からない状態だったため、答案作成時間を気にせず、
論証集で規範を確認しながら、諦めずに答案を書き切るということを意識して、起案しました。
 具体的には、選択科目→公法系→民事系→刑事系の順番を8日間で8科目、午前中に1人で起案し、出題趣旨・採点実感をざっと読んだ上で、
午後に少人数の自主ゼミで相互に答案を添削し合う、という形で検討したため、満遍なく効率的に起案・復習をすることができました。
 2年の春季休業期間中は、同様に1日1起案という縛りを設けつつ、答案作成時間を制限し論証集も参照しないという、本番の形式にならって起案しました。
 この段階では、起案に対する苦手意識が払拭してきたことや、出題趣旨や採点実感の言わんとしていることが理解できるようになってきたため、
1人で淡々と復習し、分からない箇所があれば質問し合う、という形で検討しました。
 余談にはなりますが、司法試験受験後、制限時間内に起案する能力を身に付けた上で制限時間を設けずに、
論証集を参照しながらパソコンを用いて、自分が思う完璧な答案を作成するという形で起案をすることで、規範の意味(どのような条文の趣旨から規範が導かれるのか)や、
規範に対応するあてはめの仕方、事実と評価の明確な区別等を掴むことができ、自分の能力が1UPしたように感じたため、司法試験受験前にこの勉強方法を採用しておくべきだったと感じました。
 
3. 授業やゼミの活用方法
 私は、司法試験に合格した先輩の方々から、授業より司法試験に繋がる勉強を優先するべきであるとか、
補助講師ゼミはできるだけ多く受講するべき、というお話をたくさん伺ったのですが、個人的には、しっかりと授業の予習復習に尽力し、
質良く補助講師ゼミを受講することが、合格への最短経路なのではないかと思います。
 授業について、2年の春学期においては、1科目の予習に12時間ほどかかり、予習に時間を奪われた結果、復習に時間を割けず、
ソクラテスも上手く対応できないというような模範生とはかけ離れたロースクール生活をしていました。
ここまで非効率的な勉強をする必要は全くないのですが、こうした経験により、分からない問題にしがみつく根性を習得することができたし、
非効率的な勉強を積み重ねることは、自分なりの効率的な勉強方法を発見するための、唯一の手段である思うので、無駄な勉強ではなかったと自負しています。
当たり前のことですが、個人的には予習よりも復習の方が大切であること、授業内容を規範として再構築し、論証集にまとめ直すという復習方法が効果的であることを、切に学びました。
 補助講師ゼミについて、最初はたくさん受講していても、途中から参加しなくなってしまう学生や、
せっかくの答案添削の機会を放棄してしまう学生も多く、そうした状況をもったいないと感じていました。
他方で、補助講師ゼミの活用により、自分の勉強計画をペースメイクすることができるため、少しキツいと感じる程度にスケジューリングすることが、
量と質のバランスの観点から、最も効果的なのではないかと思いました。
参考までに私は、2年次は2コマ(補講ゼミを含む)、3年次は3コマの補助講師ゼミを受講し、途中でコマ数を増減することもなく、いかなる理由があっても、欠席しないよう心掛けました。
 

2025年3月修了見込 鈴木竣介

私は、明治大学法学部を卒業し、慶應義塾法科大学院に進学、その後在学中試験を経て、無事令和6年度の司法試験に合格することができました。
また、その間に予備試験を4度目の挑戦で合格しているため、そのことも踏まえて、お話できればと思います。

私は大学入学時、法律家になろうとは一切考えておりませんでした。
実は法律を学び始めたきっかけは、まさに法学部にたまたま進学したためなのです。
私は将来の夢というものが入学時に明確にあったわけではなかったので、入学した学部の学問について、とりあえず深くチャレンジしてみようとの心持ちがありました。
そして、当時明治大学では辰巳法律研究所と連携を組み、大学授業後に更に授業を行っていたため、それを受講し始めたのが今に至るまでの一歩であると思います。
私は間違えて7科目用の授業を取ってしまい、そのため週4日間、その授業を受けることとなりました。
しかし、同じく7科目用の授業を取っている1年生もちらほらいました。
その中で、主に親交のあった人も共に本年度の司法試験に合格していましたから、入学時に法律家を志している方は、7科目を学ぶのは大変ですが、1年生の時からトライしてみても良いかもしれません。
このように法律を学び始めたわけですが、法律家を本格的に目指し始めたのは、実は大学3年生の頃です。
その理由の一つとして、明治大学法曹会、予備試験答案対策講座が大きくあります。
両者は、主に予備試験・司法試験に合格するために、開講等されているものですが、実務家と話す貴重な機会も存分にあります。
そのため、法律家になろうか迷っている人も、ひとまず受講してみるのも一つありではないかと思います。
実際に法律家以外の道を選んでいても、未だに講師と交流をもっている人もいました。
 
予備試験・司法試験という観点からすると、緩やかに成長していった方だと思います。
私は先述のとおり、4度目の予備試験で合格しました。1度目は短答式落ち、2度目は論文式落ち、3度目は10点ほど足りず、論文式落ちでした。
自分がこのような経緯を辿った中で成長できたのはやはり、答案作成の量をこなしたことにあると思います。
特に大学3,4年生の時は週に2,3通は作成していたと記憶しています。両試験、特に司法試験を志す場合、インプットのみならず、アウトプットの機会も確保すべきです(添削してもらうとより良い)。
その意味で明治大学法曹会・予備試験答案対策講座等は、大変勉強に役立ちました。
 
予備試験への挑戦は、大学院進学、司法試験に対しても意義のあることだと思います。
傾向や試験時間が異なる部分もあり、完全に対応するわけではないですが、早い内から挑戦してみることを推奨します。
その際に、ポイントとなる部分が主に3点あると感じました。
 
1点目は、絶対に落ちると思っても、受けてみるのも有りだということです。
私は大学2年時に絶対に落ちると思いつつ、予備試験を受験し、やはり落ちましたが自分の法律家になる志望度や課題を考える際に、一つの考慮材料になりました。
2点目は、短答式をやりすぎないことです。
確かに短答式試験は膨大な量があり、対策を怠れば普通に落ちますが、私は2回目の試験の際、短答式に注力し過ぎて、論文式試験の対策を控えめにした結果、
論文式試験につき、合格水準と程遠い形で落ちました。
逆に予備試験を通らずロースクールを経て、司法試験に臨まれる方は、短答式は3科目となりますが、授業等で対策する機会が無いため、自分で確保しないと直前期に大変になります。
3点目は、一緒に挑戦する人がいれば、積極的に話し合ってみるのも良いかもしれません。
個人的な考えとして、人に伝えられるまでいくと、やはりその部分は論文として書ける水準まで、インプット・アウトプットできる状態に近いところまで至っていると思います。 
また、人(特に友達)と議論した話は、記憶に定着しやすいと思います。その意味で、法律について話し合う機会を設けてみても、良いかもしれません。
 
次に、大学院進学についてお話できればと思います。
大学院は明治大学に引き続き進学するか、慶應義塾法科大学院にすべきかで迷いました。
前者は金銭的な面で魅力があり、後者は合格率の面で魅力がありました。私は両親と相談しつつ、後者を選ぶことにしました。
慶應義塾法科大学院で主に良かった点は、
1、自主ゼミを組みつつ司法試験対策を志せたこと
2、授業・学習支援ゼミにより、法律の理解を深められたこと
にあると思います。
人それぞれですが、同大学院に進学する際には、積極的に学習支援ゼミを受講してみても良いかもしれません。
 
 最後にお伝えしたいのが、何事もそうだと思いますが、予備試験・司法試験も合格に至るまで、それぞれのペース、やり方があるということです。
私のゼミの同期にも、4年生で予備試験に受かった人など、予備試験に早く受かった方々も多くいましたが、やはりまずは自分の課題を見つめ考えてみるのが、得策であると思います。
また、勉強方法も独自に勉強している方や、予備校の本などを主に活用している人もいましたから、自分なりの勉強法を確立し、信じてみるのが良いと思います。
 

2025年3月修了見込 H.O

1 経歴
2023年3月 早稲田大学法学部 卒業
2025年3月 明治大学法科大学院(既修) 修了予定
 
2 短答の勉強について
(1)全体的な勉強のスケジュール
  短答式の勉強を本格的に始めたのは2023年8月、ロー2年の夏休みからです。
同年8月から9月に憲法・刑法の過去問を一周し、秋頃に民法の過去問を1周したあと、2024年2月から5月にかけて、3科目それぞれにつき2周目を回しました。
そして、本番直前1ヶ月前である同年6月に、後述のように印を付けておいた問題のみ、再度解き直しました。
 最初に憲法・刑法から勉強を開始した理由は、民法は本番での問題数が多いため、過去問の総数も多く1周に時間がかかって、途中で挫折してしまうのではないかと懸念したためです。
実際、一部の科目だけでも早期に1周したことで達成感を得られ、短答式の勉強の習慣化につながり、また安心感も得られたと思います。
(2)具体的な勉強方法
  日々の勉強方法は、1日に30〜60問を一気に解き、解き終えたら解説を読み込むというものでした。
使った教材は、どの科目についても、1周目はLECの『司法試験・予備試験 体系別短答過去問題集』、2周目以降は辰巳法律研究所の『短答過去問パーフェクト』です。
後者は多くの受験生が使っているため、後者の方がいいかと思います。
  解く際は、30問解くと決めたら30分間など、1問あたり1分で解く計算でタイマーを設定しておき、何がなんでもその時間で解き終えるようにしていました。
短答式は試験時間が非常に短く、見直しの時間も考慮すると、1問1分程度で解くべきと考えたためです。
 解き終えたら解説を読み、間違えた肢や何度も出題されている重要な肢を、科目ごとにノートにまとめていました。
ノートには赤シートで消えるペンで、大事なキーワードなどを書いておき、通学中の電車で演習していました。
間違えた問題や、答えは合っていたが難しかった問題は、ページの端を折り曲げて印を付けておき、本番直前にまとめて解き直せるようにしていました。
 また、1問目から15問目、16問目から30問目など、15問をひとまとまりとして、チェックできるようにした簡単な表を手書きで作り、
15問を解き終えたら、順次そこに日付を書き込むようにしていました。自分の進捗状況や残りの問題数が、一目でわかるようになるので、おすすめです。
 
3 論文の勉強について
(1)全体的な勉強のスケジュール
   ロー2年の間は授業の予習課題をこなしたり、授業で初めて知ったことを復習したりと、授業に関連した勉強をする時間が多く、
また授業以外でも、演習書を周回するなど、インプットに多くの時間を割いていました。
そのため過去問は、憲法のみ補助講師の先生のゼミで10年分以上起案し、添削も受けていましたが、それ以外の科目は自分で起案したり、採点実感等を読み込んだりすることはほとんどできていない状態でした。
 そこで、ロー2年が終わる春休みから進級後の5月末にかけて、憲法以外の全科目の過去問を一気に解くことになりました。
この期間はほぼ毎日起案しており、授業の少ない日は1日に2年分起案したこともありました。
(2)具体的な勉強方法
ア 過去問以外について
  例えば民訴法の既判力など、各科目の中で基本的かつ重要な概念の定義、条文解釈については、授業・ゼミで学んだことや基本書の記述を、本番で書ける程度に簡潔に自分の言葉でまとめ、
大きめのふせんに書いて基本書の該当ページに貼るなどし、逐一暗記しました。
  基本書に軽い記述しかなく論証化できないときは、演習書や判例百選の解説を参照することもありました。
ただし、上三法については、過去問をやっていれば十分であり、演習書は不要と聞いていたため、下四法のみ論証化の際に、演習書を使用しました。
実際に使用した演習書は、行政法につき『[新版]行政法解釈の基礎 「仕組み」から解く』(橋本博之著)、商法につき『Law Practice 商法』、民訴につき『Law Practice 民事訴訟法』、刑訴につき『事例演習刑事訴訟法』(古江頼隆著)です。
  また、過去問の復習の際、出題趣旨や採点実感に、上記のような基本的事項の定義などが書いてあれば、そのまま基本書に書き込むこともありました。
イ 過去問について
  過去問は、一応時間を測って解いていましたが、2時間ぴったりで書き終えられたことはほとんどなく、最後の設問を書き終えるまで10分〜30分程度延長してしまっていました。
  その代わり、解いた後は必ず解きっぱなしにせず、その日のうちにすぐ復習しました。
復習としては、出題趣旨・採点実感を読み込んだあと、予備校の再現答案集を見て、最低限の合格レベルを確認し、重要な部分や逆に、省略してもいい部分などを分析するといったものです。
  再現答案集を見てみると、合格者の再現答案であっても、採点実感でマイナスに評価されていることや不正確なことを書いているものもあり、現実的な合格答案のレベルを知ることができます。
その点で、再現答案を読むことは重要ではないかと思います。
 
4 おわりに
  司法試験に向けて、やるべきことは非常に多いため、本番までの残り時間を常に意識し、優先順位を付けること、
そして、一定程度の基本事項を理解できたら、それ以上は一旦後回し、と割り切ることが大事なのではないかと思います。
  私は合格前、たくさんの合格体験記を読み漁ったり、補助講師の先生方に受験生時代の勉強方法を伺ったりして、
合格者の方々の勉強方法を、自分の勉強に積極的に取り入れてきました。この合格体験記も、受験生の方が勉強の参考としてくだされば幸いです。
 

2021年3月修了 Y.N

1.経歴
 私は今回9回目で合格することができました。9回というと、かなり長期戦ですよね。
その間には様々な人生の選択があり、今回の合格に至りました。どれも必要な時間だったかなと思います。
大学を卒業後、ロースクールの未修に3年通いました。1回目の受験の時に、自分の実力と司法試験合格までの差をすごく感じました。
その差に愕然としたのと同時に、20代後半に差し掛かる不安から就職を決意しました。
社会人になり仕事が楽しく、気がつくと5回目の受験になっていました。
1回目の受験資格失効を前に今一度、法曹にならない人生に満足できるのか、自分に問い直し、仕事を辞めて再度ロースクールに入学することにしました。
幸い特待生として入学できたので、経済的には余裕はありました。
しかし、民法は改正されていて、刑法の議論は進んでいるなど、思いのほか勉強をし直すことは大変でした。
さらに入学したその年に、ロースクールの閉鎖が決まり、どんどん先生が減り、設備が貧素になっていく様子は寂しかったです。

2.受験の基本姿勢
 まず、勉強環境を整える必要があると思います。
特に勉強時間を確保することが必要です。既に数回受験している人はある程度、知識が蓄積されていると思うので、アウトプットをしっかりやる必要があると思います。
来年の試験までは約7ヶ月しかないので、既に1科目に1ヶ月も時間をかけることができません。それを意識して、計画を立てる必要があります。
そして何より2026年からは、パソコンを使用して、答案を作成する受験方法(パソコン受験/CBT方式)が始まるので、再来年以降は今年以上に受験対策が大変になります。
絶対に来年突破できるよう、勉強環境を整えてみてください。
 次に、演習を行ってください。知識は十分あると思っていても、実際に答案を書いてみると書けないことが多いです。
また、自分では書いているつもりでも、採点委員に伝わらないということも多いと思います。はじめは自分でも目を背けたくなるような文章しか書けないかもしれません。
それでも、他人に読んでもらってください。周りに読んでくれる人がいなければ、法律と全く関係のない人でも良いと思います。
意味が通じるか、聞いてみてください。
 最後に、自分を信じてください。人の意見を謙虚に聞くことは、必要だと思います。
ただ、自分が納得できないことは、しなくてもいいと思います。納得できないことをしても、力にはならないし、結果が出なかったときに、自分の責任だと思えなくなります。
試験当日は自分を信じて書き切ってください。
 
3.短答式の戦略と勉強法
 私は短答式がとにかく苦手でした。憲法は特に苦手で、克服できなかったほどでした。
民法は比較的得意だった総則と、家族法で確実に点数を取り、苦手な債権総論と担保物権はわかるところを確実に取れるようにする、という戦略を取りました。
 刑法については、論文では出ない罪が問われることが多かったので、構成要件を覚えました。
どちらも時間が目一杯になるので、後ろから解くようにしていました。
 民法の勉強方法としては、短答式プロパーの知識について、直前にまとめて丸暗記しました。
択一六法に付箋を貼って、記憶を喚起させるキーワードを書いておいて、何度も見ました。今年はそれほど民法に難問はなかったので、この勉強方法で対応できました。
 刑法の勉強方法としては、先ほども述べたとおり、構成要件を覚えました。学説問題については、まず論文式でも使う説と、その他もう1個ぐらいしか抑えませんでした。
その方法でなんとかなることが多いです。不確かな知識ではなく、確実な知識をしっかり入れると、短答式の成績が安定するようになると思います。

4.論文式試験の勉強法
(1)インプット
 各科目につき、正確な知識を入れましょう。近年の司法試験については、問題が簡単になっていて、事案分析が重要になっています。
論証を暗記しただけではA評価がもらいにくくなっています。
基本、〇〇シリーズ程度の知識で十分だと思います。皆が知っている理論部分は、しっかり書けるように準備しておくといいと思います。
(2)論文
  試験のときは、2時間しかないということを意識して、論文作成をする癖をつけることが重要だと思います。
何時間もかけて完璧な答案を作成できたとしても、試験の日には、そのような答案は絶対に書けないです。
なので、2時間で作れる最大の答案はどのようなものかを意識して、論証等を作るようにするといいと思います。
私は、友人と週3回、2時間を計って即日起案をしていました。その日に起案を読み合い、悪いところを指摘してもらっていました。
この時の注意点は、既存の過去問等を利用すると、潜在意識に正解答案が刷り込まれている可能性があるので、良い答案が作成できたとしても、安心しないことです。
初見の問題の場合は、もう少しクオリティが下がるので、下がったとしても最低Bを取れるような答案を目指すと良いと思います。
(3)使用した教材
 〇市販本/基本〇〇シリーズ、趣旨規範ブック、択一六法
 〇予備校/重要問題習得講座、短答過去問分析
 
 

2023年3月修了 A.F

1.自己紹介
 私は233月に明治大学専門職大学院法務研究科を修了し、2回目の受験となる令和6年司法試験に合格しました。
 私は中央大学の出身ですので、明治大学法制研究所の意義を語ることができません。
しかし、このページをご覧になっている明大の学部生や受験生の方に対して、司法試験の一般論や初学者向けの学習方法など、当時の自分が知りたかった情報を中心に提供することはできると思い、応募しました。

2.司法試験ってどんな試験?
 司法試験は文系最難関の試験の一つとされています。
合格してみて言えるのは、ある程度の論理的思考力,記憶力,根気,文意を素早く把握する能力は問われるものの、
それなりに正しいやり方で一定量の勉強をこなせば、合格する試験であり、超人的な能力が必要とされるものではありません。
このことは、法律が一般人に適用されるものである以上、一般人に到底理解不能なものであるはずがないことからも、ご理解いただけると思います。
ただし、一定量の勉強をこなす間に、家族に様々な変化があったり、経済的に苦しくなったり、体調を崩したりすることもありえます。
司法試験が難関と言われる背景には、このような事情もあると思います。

 私は学部3年3月の就活中に、専門性を身につければ、自分の人生がより豊かになると考え始め、司法試験受験を決めました。
この場で他大学の話をして恐縮ですが、中央大学は法科の中央と言われていたこともあり、司法試験を意識したカリキュラムが組まれていました(明大でいうと法曹コース)。
中大では学部2年生の頃に、そのカリキュラムを受けるか選ぶようになっていたと記憶していますが、せっかく中央大学に入ったのだから、法律の勉強をせざるを得ない環境に身を置いてみようと考え、
司法試験を目指す若干負荷のある、このカリキュラムを履修していました。このような背景もあり、大学3年の3月から、法科大学院入試の準備をすることができました。
要するに、司法試験受験を決断するのは、いつでも大丈夫ということです(遅くなればなるほど合格時期もずれこむのは事実ですが)。
 
 明大受験ないし司法試験受験を考えている高校生の方に、若干アドバイスさせていただきます。
若さは人生の可能性を広げる最大の武器と言われますが、法曹資格も人生の可能性を広げる切符に成り得ます。
その場合、社会に出るのが数年遅れるので,どちらの武器を優先するかの問題です。法曹資格を持って会社や役所に入る選択肢もあります。
司法試験の合否を問わない、法科大学院出身者向けの求人も実はいろいろあります。
 明治大学は該当しませんが、法学部には法律学科や政治学科があると思います。
法律学科より政治学科の方が入学しやすい場合、大学のカリキュラムにもよりますが、政治学科に入学した上で、法律学科が履修することの多い法律科目を履修する選択肢もありえます。
司法試験を目指す明大生が所属する法制研究所に至っては、学部不問,在学・卒業の別もありません。
もっとも、法学部に入学すれば様々な法分野の授業が履修できます。それぞれの大学のカリキュラムについて、詳しく情報収集してみてはいかがでしょうか。
 また、司法試験を受験するには予備試験という、司法試験より難しいとも言われる試験を突破するか、法科大学院に入学する必要があります。
法科大学院は学部を4年間で卒業した後に、2年もしくは3年コースで入学でき、最終学年になれば司法試験が受験できます。
いわゆる在学中受験と呼ばれます。また、大学によって異なると思いますが、学部を3年で卒業し、法科大学院の2年コースに入学する選択肢もあり、この制度は明大にもあります。
入学を検討されている大学のカリキュラムを検討してみてください。

3.初学者向けの勉強方法
(1)インプットについて
 法律の勉強は、必要な知識のインプットと、それを使って問題を解いたり文章を書いたりするというアウトプットから成ります。
法学部で最初に勉強する民法の法律でも、条文数が1000以上あり、大学の授業では、民法をいくつもの授業に分けて勉強していきます。
一方で、別々の授業で勉強する知識が、一つの問題を解くのに求められるということもあります。このため、民法の全体像を早期に掴むことが、重要になります。
大学の授業でも多少の配慮はあると思いますが、基本的には大学の授業と並行して、自分で勉強していく必要があります。
民法の基本書(教科書)は総則,物権法,債権総論,債権各論,家族法とそれぞれが数百ページあるものですが、
民法全体を一冊で概観する入門書をインターネットで何冊か探して、読みやすそうなものをざっと読んでみるといいと思います。
誰が書いたものでもいいですが、箇条書きに近いレジュメのようなものは理解しづらいと思うので、研究者か司法試験予備校が書いた文章で、書かれているものがよいと思います。
『伊藤真の民法入門』(著:伊藤真/出版:日本評論社)は初学者が民法の全体像を掴むには、詳しすぎますが有名ですので、これを選択するのも一案です。
ややトリッキーですが『伊藤塾の公務員試験「民法」の点数が面白いほどとれる本』(著:伊藤塾/出版:KADOKAWA)もありだと思います。
学者の書いた本の方が信頼できますから、予備校の書いたものはあくまでイメージを掴むために、活用してください。
民法の全体像を把握することで、大学の授業で勉強していることが、民法の体系のどこを指している話なのか、理解することができるようになります。
併せて、法学入門の本も何冊か読んでみてください。
民法以外の科目についても同様です。
(2)アウトプットについて
知識を入れ始めたら、問題を解いて答案を書く段階に移行するようになります。
最初は問題文を読んで、何を聞かれているのかを把握するだけでも精一杯で、解答を考えることすら大変だと思いますが、考えたことを文字にすることに挑戦してください。
答案を書くには様々な答案例をみて、読みやすいものを真似することが大事です。
予備校の出版した答案を参考にすることが多いと思いますが、それ以外にも司法試験や予備試験の合格者が書いた答案例が、インターネット上を含め、入手可能です。
合格者の答案であれば、おかしなものは少ないですから、その中から自身が読みやすいもの、理解しやすいと考えるものを、まずは参考にしてみてください。
その上で、いろいろな人に答案を見てもらって、修正していってください。
論文を書く前に短答式、つまりマークシートの問題に挑戦する人も多いと思います。
市販されている短答式の解説の中には、司法試験に合格した後に読んでみてもよくわからない、はっきり言えば意味不明なものも、多々あります。
解説に書いてある条文や判例を基本書で調べてもよくわからない場合には、大学の教員や合格者に聞いてみてください。
(3)論証集について
 論文を書く際には、条文の解釈等覚えておくべきことをまとめた論証集を使う人が多いと思います。
市販の論証集はいろいろありますが、最終的には既存の論証集の記述のうち、少なくともよく使う部分はしっかりと研究して、
論証の表現を自分なりに変えたり、短くしたり付け足したりして、自分の勉強の成果を反映させて、改造できる人が合格水準に達するのだと思います。

4.最後に
 明治大学法学部には、法科大学院でも教鞭を執る教員が大勢いらっしゃいますから、司法試験についても親身になって、皆さんの相談に乗ってくださると思います。
様々な夢に向かって、努力される皆さまのご健闘を心よりお祈りいたします。
 

2022年3月修了 武井真之

1 経歴・自己紹介等
(1) 経歴
2016年3月 東京実業高等学校 卒業
2020年3月 亜細亜大学法学部法律学科 卒業
2022年3月 明治大学法科大学院(既習) 卒業
2024年11月 司法試験合格
(2) 自己紹介等
私は、2回の不合格を経てから3回目の司法試験で合格しました。また、合格に至るまで何度も挫折しそうになりました。
以下では、私がどのような学習をして司法試験に合格したのかということについて、説明させていただければと思います。

2 短答式について
法科大学院在学中は、短答式対策に時間をかけることができず、1回目の試験では、悪い点数をとってしまいました。
また、2回目も民法で悪い点をとってしまい、得点が伸び悩みました。
3回目の受験に向けては、とにかく分量をこなすことを意識して、ほぼ毎日過去問をやっていました。
過去問の解き方としては、例えば「今日は民法の令和元年をやる」というように、年度毎に行っていました。
分野毎ではなく、年度毎にやることで本番を意識することができましたし、知識の偏りも防ぐことができたと思っています。
また、択一六法を使用し、忘れがちな条文や判例にはマークをして、定期的に確認していました。
さらに、苦手意識のある民法については、毎日寝る前に条文の素読をしていました。
その結果、1回目、2回目の受験時よりも、点数を大幅に上げることができ、合格者平均よりも高い点をとることができました。
 
3 論文式について
論文式対策としては、過去問演習を中心に、基本書や判例集などで重要な論点や苦手な分野の理解等を深める、ということをしていました。
特に3回目の受験に向けては、過去問の起案を3月ごろから試験直前期まで毎日続けていました。
過去問演習をした際は、出題趣旨・採点実感のほか、ぶんせき本で再現答案を読んで、いいところを取り入れるほか、自分の答案がどういった評価を受けるのかということを考えていました。
さらに、出題趣旨・採点実感や基本書等を参照した際は、必要に応じて自分の使っている論証集にその情報を反映させていました。
また、問題提起やあてはめの仕方といった部分についても、取り入れることができるものについては、その都度、論証集に加筆するなど、あらゆる情報を論証集に一元化していました。
この作業・学習方法は時間がかかるため、万人にはおすすめしませんが、少なくとも私は確実に合格するために必要であったと感じています。
また、特に憲法・行政法・民事訴訟法については、判例の理解がよく問われるというイメージがあったため、
これらの科目の重要判例については、事案と判旨を答案でコンパクトに説明できるレベルまで学習しました。
これによって、かなり安定して、合格水準の答案が書けるようになったと思います。
なお、起案はしませんでしたが、理解を深めるためにロープラなどの演習書も使用しました。
私としては、合格のために演習書は決して必須ではないと考えていますが、他の受験生が知っているのに、自分だけ知らないという問題を減らし、心の安定を図るために活用しました。

4 不合格から合格に至るまで
私が合格に至らなかった理由は、知識に穴があったことと、試験中に合格を諦めてしまい、気持ちで負けてしまっていたことだと思います。
例えば、1回目の時は、民事訴訟法でいえば多数当事者訴訟がよく分かっておらず、具体例や判例などを、すらすらと説明することが難しいという状態でした。
また、2回目の時は、失敗した科目があり、次の日に試験会場に行っても、無駄ではないかと考えて会場に行くのが辛くなるなど、精神面で負けていました。
その時の試験結果が、残り後10数点で合格であったために、もう少し頑張っていれば...という気持ちになり、とても後悔しました。
そのため、3回目の受験にあたっては、過去問や手持ちの教材のどこから出題されても対応できるように、徹底的に準備をしました。
また、試験中にどんなに失敗をしても、最後まで希望を捨てませんでした。
試験当日の朝も試験直前まで知識をチェックし、論文終了後は休憩せずに択一六法の条文を全部素読するなど、最後まで全身全霊を試験に注ぎ込みました。
このような執念が合格に繋がったと思います。
 
5 最後に
不合格が重なると精神的・金銭的に辛いことがあると思います。私自身、もう何回挑戦しても無駄だと考えてしまい、自暴自棄になってしまったことがありました。
家族や友人等の大切な人達にも、たくさん迷惑をかけたと思います。
ですが、そういった大切な人達に恩返しをしたいという思いで、最後まで諦めることなく挑戦することができました。
最後まで諦めなければ、合格のチャンスは絶対にあると思います。
ここまで読んでくださっている方で、自信を失っている方も是非、最後まで諦めない気持ちをもって挑戦してほしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この合格体験記がみなさんの役にたてば、幸いです。

1999年3月卒業 Y.S

1 経歴 
明治大学法学部法律学科(1999年卒業)
都内法律事務所勤務(2024年2月末退職)
令和4年予備試験合格
令和5年司法試験不合格
令和6年司法試験合格
 
2 司法試験・予備試験を志した理由
前提として、私は旧司法試験の受験経験もある『化石』のようなアラフィフ・妻子持ち受験生です。
大学卒業後は民間企業に就職し、その後、数社経て、都内法律事務所に転職し、働きながら予備試験に長い間、チャレンジしてきました。
このような受験生の体験記がどこまで皆様のお役にたてるかは分かりませんが、「こんなおっさん受験生もいるんだな~」位に思って、読んでいただければ幸いです。
 司法試験・予備試験を志した理由ですが、合格した今となっては、自分の矜持を保つためだったと思います。
旧司法試験を始めた頃は、崇高な理想(?)を持っていたような気がしましたが、何度も試験に落ち続けるたびに、そのような理想のためではなく、とにかく試験を突破したいと思うようになりました。
旧司法試験制度が終わり、司法試験・予備試験に変わってからも受験を継続し、合格まで時間がかかってしまいましたが、その分、合格した時の喜びもひとしおでした。

3 短答式対策
 受験期間が長いので、いろいろと手を出しましたが結局、短答式対策は過去問と条文学習に、集約されると思います。
そして実は、短答式対策が司法試験・予備試験の基軸となると、私は思っています。予備試験の短答式を突破する実力を付ければ、司法試験の短答式に落ちることはほとんどありません。
そこで以下は、主に予備試験の短答式対策について述べたいと思います。
 短答式の過去問学習についてですが、年度別のものを使っていました。本試験は問題文の並びにも、意味があると思っていたからです。
解きにくい問題が冒頭に配置されている、刑法で配点4点問題がどこに配置されているか、どのような順番で問題が並んでいるのかなど、
そういった要素も過去問学習には重要だと思います。
毎年4月に入ってから、これらを一気に回して記憶を喚起して、本番に臨んでいました。
何回もまわしていたので、結果的に過去問を暗記するまでに高めてしまっていたと思います。
また、条文学習については、条文の素読をしていました。
毎年11月頃に発売される『有斐閣判例六法』を購入し、憲法から始まり、会社法を含め(計算や社債等、出題の可能性が低い所を除く)刑事訴訟規則に至るまで、地味に素読していました。
さらに、六法に掲載の判例についても、会社法、民事訴訟法、刑事訴訟法は軽めになど、全ての科目ではないですが、概ね押さえていました。
『有斐閣判例六法』は行政法の判例について『行政法総論』を、別に項を設けて掲載していたので、それが便利でした。
なお、短答式対策が予備試験の基軸となると、冒頭で申し上げましたが、私は予備試験の短答式の一般教養が苦手で、毎年点数が悪かったです。
人それぞれとは思いますが、私は一般教養対策をしても、コストパフォーマンスが悪いと思い、一般教養の対策はせずに法律科目だけで、短答式突破を目標に取り組んでいました。
令和4年の予備試験短答式も一般教養は3問しか正解出来ず9点でしたが、法律科目だけで176点と、合格点以上を取ることが出来ました。
法律科目だけで合格点を目指した私にとっては、やはり短答式対策は基軸となっていました。
ここで誤解を恐れずにお伝えしますが、法律科目だけで合格点を超えるには、短答式の過去問学習だけでは、少し足りない気がします。
やはり、条文の素読が行政法、民法、会社法、民事訴訟法で有用となると感じ、過去問に出ていない条文も押さえることが法律科目だけで、合格点を超えるポイントになると思います。
さらに、私にとって短答式過去問や条文の素読学習が、その後の予備試験論文式や口述試験、さらには司法試験にも役立ったので、
短答式対策はそのような観点からも、司法試験・予備試験の基軸になると思います。
例えるなら、短答式試験の知識や条文の素読によって得た知識は、野球でいえばキャッチボール、サッカーでいえばリフティングのようなものだと私は思っています。
 
4 論文式対策
論文式対策についても短答式同様、いろいろと手を出しましたが、結局は過去問と条文学習に集約されると思います。
もちろん、基本書を読んだり、市販の問題集を解いたり、論証を暗記することが勉強に役立たないとは言いませんが、過去問を研究することが決定的に重要だと思います。
過去問学習においては、問題文を何度も読み返して、「この問題は、何条の問題なのだろう?」と、条文を出発点にした議論を組み立てることが、どの科目でも大切だと思います。
私は、答案1枚目の、なるべく早い行数の所に、条文を指摘することを意識していました。
そして、その指摘した条文の文言を鍵括弧でくくり出して、文言に当てはめる方法を貫きました。
もし文言が抽象的であれば、趣旨や保護法益、または問題文の事実から逆算して、規範を定立しました。
逆に不法領得の意思等、条文に無い要件については、意識的に解釈を入れて、規範を定立していました。
この、鍵括弧でくくり出すという方法は、本当にしつこく実行していました。
例えば、会社法の条文に「取締役が」と規定があれば『Aは、甲社の代表取締役であり、「取締役」(会社法●条)にあたる。』等、
解釈のしようが無い文言についても繰り返し、実行しました。
法律効果は、法律の要件(文言)に全て当てはまらないと発生しないので、そのような姿勢で取り組むことは、間違いないのではないかと思っています。
そして、論文式試験を解く際の、出発点となる条文の学習は、短答式試験での学習が、活きてくると思います。
特に民法、会社法はその傾向が顕著だと思います。試験委員の先生が指摘して欲しい条文を、答案の中に書くことが出来れば、勝ちに等しいのではないかと思っていますが、
その条文学習は、短答式試験の勉強時に仕込むことが合理的だと思います。
さらに過去問学習においては、問題文の事実に着目することも大切です。
“問題文のこの事実は、条文のどの要件との関係で、問題となる事実なのだろう?”“何を書いて欲しいという意図なのだろう?”と考えながら、
何度も過去問を読むと本当に、過去問の問題文には無駄が無いことに気が付きます。
 私のように、何度も論文式試験に跳ね返されている多年度受験生の方は、きっといろんな基本書や論証集を読まれて、知識にあふれていると思いますが、
あまり難しい議論を答案に書かず、シンプルに条文の文言と問題文の事実だけに着目して、答案を書いてみることをお勧めします。
 なお、私は令和5年の司法試験については、論文式で合格点から大差をつけられて、不合格となりました。
予備試験合格当時からフルタイムで、都内の法律事務所に勤務していたのですが、令和5年の司法試験については、仕事の関係であまり準備が整わない状況で、挑んだことが原因でした。
実際『手で答案を書く』という作業が、圧倒的に不足していたのです。
そこで、職場にわがままを聞いてもらい、令和6年2月末に退職して約4カ月間、司法試験の勉強に専念しました。
 確かに統計上、予備試験の合格者は翌年の司法試験に90%以上の確率で合格することができます。
しかし、そもそも司法試験受験者はロースクールを卒業した、実力者ばかりです。少しの油断や準備不足があれば、簡単に残りの10%に入り、不合格になってしまいます。
予備試験の論文と司法試験の論文は、試験時間も問題文の長さも、問題の質も異なります。
例えるなら、予備試験の論文が100mの短距離走であるのに対して、司法試験の論文はマラソンとは言わないまでも、1500mくらいの中距離走ほどの違いがあるのではないでしょうか。
短距離走の訓練をいくら積んでも、中距離走でいい成績は残せないと思います。

5 口述対策
せっかくなので、予備試験の口述試験についても述べたいと思います。
口述についても、過去問と条文知識が重要だと思います。過去問学習をすることにより、口述試験で要求される知識の深さを知ることができます。
また、口述試験でも条文知識は決定的に重要だと思います。私は、口述の過去問学習において、1人で問答するときも常に、条文を出発点とする思考で取り組んでいました。
実際に私が受験した年の口述試験において、「鑑定書について弁護人は同意したが、被告人が同意したくない場合はどうなるの?」との問いに対して、
主査からその理由を聞かれ、私は、『そもそも刑事訴訟法326条の文言に「被告人」と書いてありますので…』と答え始めると、主査はうんうんと頷いて下さり、
その後のやりとりも、あまりツッコミも無く、スムーズに終われた気がします。
条文を出発点にして議論を組み立てれば、間違いないと確信しました。
この年の民事系・刑事系、いずれにおいても短答式の学習や条文の素読で得た知識が、ことのほか役だったので、やはり短答式対策は基軸になると思います。

6 これから司法試験・予備試験を目指す方へのメッセージ
 予備試験の短答式試験・論文式試験・口述試験、司法試験のいずれにおいても、過去問と条文にこだわって下さい。過去問は試験委員からのメッセージです。
条文は予備試験・司法試験、いずれの論文式試験、そして予備試験の口述試験で、参照が許される受験生の道具です。
特にいずれの論文式試験においては、上記にもあげた、条文の文言と問題文の事実がより不可欠となり、論文式試験対策としてまずそこからがスタートだと思います。
 
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
最後に試験を突破するまで、私のわがままに付き合って協力してくれた妻と娘に感謝して、本稿を終えたいと思います。 
 
以 上
 

2025年3月修了見込 R.I

1 経歴
  2020年4月 明治大学法学部法律学科 入学
  2023年3月 同大学 3年次早期卒業
  2023年4月 慶應義塾大学法科大学院 入学
  2024年7月 令和6年度司法試験 在学中受験
  2024年11月 同試験 最終合格
 
2 勉強方法
 (1)  短答式試験
   短答式試験については、学部3年次に予備試験を一度受験してみようと思っていたため、学部2年の間に下4法も含めた全科目の問題集を1周することを目標としていました。
もっとも、予備試験受験までに1周できたのは上3法のみで、下4法については途中まで解き、予備試験に臨むこととなりました。
結果、その予備試験は短答式試験不合格に終わり、早期卒業後、司法試験を在学中受験するという目標に切り替えました。
   その後、ロースクールに入学しましたが、短答式試験の対策は1年目(既習2年次)の春休みになるまで、特に対策はしていませんでした。
というのも、ロースクールの授業は予習、復習が欠かせず、これらをやりながら、論文式試験の過去問を解いていると、短答式試験の対策にまで手が回らなかったのです。
   春休みに入ってからは、論文式試験の過去問演習とあわせて、短答式試験の過去問演習にも取り組み始めました。
この間に試験科目となる上3法について、問題集1周を終わらせましたが、
学部の時に解いた過去問についての記憶は、あまり残っておらず、ほとんどの問題で正解できなかったと記憶しています。
過去問演習の方法としては、問題を解きつつ肢の知識に関する条文、判例について判例六法にマーキングし、そこに載っていない問題についてはノートにまとめたり、
判例六法の空いているスペースに書き込んだりしていました。
   春休みが終わってから7月の受験までは、とにかく時間がなかったので、
これ以上の模試以外の問題演習は解かず問題演習を回したのは、学部の時と併せた2周のみです。
春休みが終わってからはひたすら判例六法にマーキング、書き込みした知識を隙間時間で暗記しました。
机に向かっている時間の中でも、これを暗記する時間を一定時間設けたり、通学中の電車内では必ず裁断して、持ち歩いていた判例六法を読み込んだりしていました。
   このほか科目ごとの対策として、憲法では判例百選掲載の判例を読み込み、刑法では論文で出題されることが少ない、
刑罰論や刑期・執行猶予に関する条文の知識、刑の減軽に関する知識をノートにまとめて、これを覚えていました。
論文と重なる範囲については、論文対策をする中で、自然に知識が定着したように思われます。
(2) 論文式試験
     論文式試験の対策としては、ロースクールの授業と過去問演習のみ、行いました。
過去問は7年分全科目起案し、残りの年度も答案構成を全科目、前年度分行いました。以下、科目ごとの学習方法を記載します。
 ア 公法系科目
    公法系科目については、過去問演習を通して判例知識の正確な理解が求められていると感じたので、
普段の学習で使用していた『趣旨規範ハンドブック』と『判例百選』を用いて、自分なりの論証パターンを用意しました。
 イ 民事系科目
   民事系科目についても主としては、過去問演習と並行して、論証パターンを書き上げるという学習を実施していました。
この中でも民事訴訟法では、判例の射程が及ぶか否かという問題が近年多く出題されていたので、
論証パターンを用意する際にも、重要判例の事例を理解しつつ、試験ではこれを応用して、どのような問題が出題されるかを考えながら、学習を進めていました。
民法については、他の科目と比べても特に範囲が広いため、まず1周全範囲を学習し、全体の体系をつかんだうえで、各範囲の論点を詳細に学習していました。
  ウ 刑事系科目
    刑事系科目では、新司法試験に切り替わった当初の問題で、論点となっていたところが、近年再度出題されているというのを、過去問演習を通して分かったので、
過去問を用いながら、各論点の正確な理解を心掛けました。
    これに加えて、刑法の問題では対立する見解に触れたり、時には寄って立つ見解を指定されていたりするので、日ごろの勉強から反対説も理解することを心掛けていました。
3 直前期の過ごし方
  直前期(ラスト1か月)は、判例六法に書き込んだ担当知識の詰込みと、過去問演習と、その復習を通して作った論証集の暗記をひたすらしました。
5月に受けた模試で、上位5%の順位にいることが確認できていたので、あとはその模試で自分に足りないと思った、
短答の点数を伸ばすことを強く意識して、勉強しました。
 論文に関しては、毎日論証を確認していないと、正確な規範や根拠づけを忘れてしまうような気がしていたので、
毎日必ず、各論点に目を通すようにしていました。これらをやるのにだいたい12時間強は勉強していたと思います。
         以上

2025年3月修了見込

1 はじめに
  私は、他大学の法学部を卒業し、明治大学法務研究科に既修として入学しました。
  大学2年生から予備試験を受け続け、2度短答式試験を通過出来ず、大学4年生の時に、短答式試験は合格したものの、論文式試験で落ちました。
また予備試験も、法務研究科1年目の時に受験しましたが、論文式試験で不合格でした。
そんな私ですが、司法試験は1回目、在学中受験として合格することができました。
  明治大学法務研究科に入学して、大きく学習方法を変え、司法試験に合格することができましたので、その経験を共有させていただければと思います。

2 学習方法の変化
  暗記を中心の学習をしていました。
論証集をひたすら読んだり判例を読んで、その事案と結論をそのまま覚えたりして、とにかく暗記することが、司法試験の合格につながると思っていました。
1日に5時間から8時間程度の学習を行っていましたが、そのうちのほとんどの時間を読んで覚える、書いて覚えることにあてていました。
  しかし、論文式試験は、過去問と同じテーマの問題が出ることはあっても、そのまま出題されることはありません。
新しい論点が隠れていたり、具体的な事案が現代の社会問題になっていたりと、現場で考えなければならない点が、必ずあります。
論証集というものも、他人が書いた文章のため、いくら読んでも頭に残らない部分があります。
暗記ばかりの学習では、予備試験の論文式試験に合格出来ない、司法試験・予備試験に対応できないことを表していると思います。
  法務研究科に入学してすぐに、友人たちと自主的にゼミを組んで、学習する機会がありました。
その友人たちが、授業で習ったことを基礎にして、「こういう事例の場合にはどうなるだろう」、「あの論点と関連しそうだな」など、
いろいろ考え方を派生して問題と向き合う姿勢で取り組んでいて、この出会いが私を、司法試験合格に導いてくれたのだと今にして思います。
  徐々に私も一緒に考えるようになり、判例の射程、他の論点との整合性等、暗記以外の学習が増えていきました。
これまでは、そのまま暗記していた論証集も、授業や参考書と照らし合わせて、自分の納得のいく形に変えていきました。
最初は、慣れない学習にとまどい、課題や短答式の学習に追われていたこともあり、焦りを感じました。
実際、法務研究科1年目に受けた予備試験の論文式試験は、前年よりも順位が下がっていました。
しかし、ここで目先の結果を求めて、元の暗記の学習に戻っていたら、今年の合格はなかったと思います。
自分の中で、法的思考力、問題分析力が成長しているのを感じましたし、なにより学習が楽しくなっていたため、予備試験の順位が下がっていても、
自分がやっていることは間違っていないと信じて、学習を続けました。
今年の司法試験を受ける頃には、論証集は7割ほど自分の形に変わっており、自分だけのものになっていました。
試験直前にはそれを見返し、知識の確認をすると同時に、これだけの学習を行った自分に、自信をもつことができました。
学習時間は1日5~8時間程度で、夜は寝るようにしていました。
 
3 短答式対策
  1日の問題数を決め、ひたすら過去問を解いていました。全問題を最低2回は解いて、正誤を記録しておいて、2回とも間違えた問題は、3回…4回…と解きました。
私の場合は、問題を間違えても、基本的には裏についている解説を読む程度にとどめて、次の問題に取り組むようにしていました。
短答式は、なんといっても問題数が多く、勢いで取り組まないと、先を見てしまい嫌になってくること、
他の問題と関連して、理解できることもかなりあるため、一度全部解いてしまってから戻る方が、効率よく回せると考えたからです。
間違えた問題については、判例六法の該当条文に、正の字を書いて記録しておき、マークの多い条文を直前に見直すようにしていました。
これをすることで、自分がどこで間違えやすいのか、条文の全体構造が自然と頭に入り、論文式試験にも活きたと思います。

4 論文式対策
  友人と自主ゼミを組み、過去問を一緒に解いて、共に検討をしていました。
それぞれ復習してから検討しますが、順に当番を決め、当番が出題趣旨や採点実感、参考書を読んで解説をし、他の人が疑問をぶつけて、さらに検討する方法で取り組んでいました。
自分だけでなく、人にわかるように説明すると責任が伴うため、慎重に復習しますし、わかりやすく説明するために、自分の言葉で理解しようと努めます。
この経験が、司法試験当日も活きたと思います。
また、論証の作成は直前まで行っていました。法務研究科の先生方のおっしゃることを踏まえて、参考書を見て、自分の納得のいく形に何度も変えました。
論証の分量が増えることもあれば、減ることもありましたが、自分で一度組み立てた経験があるため、
削っていいところと大事なところが明確になり、試験本番の時間がない中で、必要な部分を書くことができたと思います。
論文を書くときに注意した点は、事実と評価です。
問題文に表れた事実を挙げ、それを自分の言葉で評価する。
この過程に点数が入ると考え、常に意識していました。

5 おわりに
  司法試験において、暗記は絶対に必要で、覚えなければどうしようもない部分があることは事実ですが、それだけではないということを、お伝えできればと思います。
学習方法は、記憶力や言語化能力に応じて人それぞれであり、上記の方法も私に合っていただけです。
ただ大切なことは、人の話を受け入れる柔軟さをもつことだと思います。人に勧められた方法を一度やってみて、自分に合わないと思ったら、元に戻す判断も重要です。
ですが取り組んでみないと、本当は自分に合っていた方法を自ら捨ててしまうことにもなりかねません。
  以上、この体験記も鵜呑みにするのではなく、参考にして学習を続けていただけたら幸いです。
 

2023年3月修了 D.F

 1 短答式の勉強方法
短答式については、予備校が出版している体系別過去問集の演習に取り組みました。
もっとも、演習に際しては、どれだけ丁寧に1問1問向き合うことができるか、という点が重要かと思います。
不合格だった年は、過去問を1周して間違えた選択肢だけを、択一六法にマークしておき、それを見返していましたが、結果は126/175点と平均的な数値でした。
そこで、2度目の試験に向けて学習方針を見直し、基本書(予備校本)を読んだ上で、過去問を解き、
判例六法(憲法は逐条テキスト)に出題された選択肢を解くのに、必要な知識を全てマークやメモで残し、
再度同様の知識が別の年度・設問で出題されている場合には、毎回そのマークやメモを確認するようにしていました。
過去問自体を解いたのは1周でしたが、143点まで点数を伸ばすことができました。
短答式は、全体の配点に占める割合こそ少ないですが、合格ボーダー層はまさに1点の取り合いであり、短答式の1問で合否が決まっていることも、多々あります。
そういった観点からも、短答式も軽視することなく、8割以上の獲得を目標に勉強すべきであると思います。

2 論文式の勉強方法
私は、1度目の試験時、法律論や重要性の低い判例を踏まえて、論証を肥大化させる等、法律論の勉強に終始していました。
その結果、1度目の試験の論文式はほとんど点数が入っておらず、見るに堪えない成績となってしまいました。
司法試験の評価は、問題の所在・規範・理由付け・的確な事実の指摘・事実に対する的確な評価という、一連の記述をまとめて評価されている部分もあると感じていました。
そのため、予備校の司法試験過去問の論述例のような答案を、試験現場で自分の力のみで再現するためにはどうすればいいのか、ということを常に意識して、日々の学習を進めていました。
とりわけ、2度目の試験に向けては、「法律論をコンパクトに/当てはめにフォーカスする」ことを心がけました。
当てはめの学習としては、出題趣旨・採点実感、予備校の論述例を基に、どのような事情をどのように評価すれば良いのかを丁寧に分析し、それを一元化教材にストックし、暗記していました。
演習については、週に2,3回ほど過去問をフルスケールで書き、残りの時間は自分の答案を自分で添削し、
論証や当てはめ、処理手順について丁寧に復習していました。
優先度の高い過去問については出来る限り起案し、そのほかの問題についても、答案構成だけでもするように心がけていました。
結果として、本試験の過去問は14~15年分ほど解きました。優先度については加藤ゼミナールのHPにある、ランク表を参考にしていました。
「合格の可能性をより高める」という意味では時間が許す限り、判例百選を用いて答案構成をする、市販の演習書を用いる等、
網羅性を確保すべきではあると思います。
もっとも、本試験・予備試験の過去問の演習の方が、優先度は高いと考えます。
本試験や予備試験で出題された事項については、周囲の受験生がしっかりと出題趣旨や採点実感に則った答案を書いてくるため、
過去問をどれだけ丁寧に分析しているかどうかで、大きく差がついてしまうからです。
私は、結果的にこれら全てを解くことができませんでしたが、今年の論文式は1000位まで順位が上がったので、勉強の素材はこれらで十分だったと思います。
なお、一元化教材は、上三法と民事訴訟法は自作のまとめノートを、そのほかの科目は趣旨規範ハンドブックを裁断して使用しました。
 
 3 不合格者がリベンジするにあたって必ずすべきこと
個人的な意見として、司法試験に落ちる原因の最たるものは、勉強の方向性を見誤ったことに尽きると考えています。
勉強の方向性が間違ってしまうと、いくら時間をかけて勉強しても合格できず、加えて受験回数が多くなれば、受験生の合格率は低くなると思います。
しかしながら、それを1人で軌道修正することはとても難しいと思います。
そのため、司法試験に落ちて再受験する際には、合格者に相談しつつ、敗因分析することをお勧めします。
可能であれば、近時の試験傾向や試験現場での問題に対するアプローチを、感覚として掴んでいる直近の合格者であることが望ましいです。
再現答案を書き、直近の合格者に評価をつけてもらう。
過去問をフルスケールで書き、どこがダメでどういう勉強をすればいいのか、何を暗記すればいいのか、どのように問題・解答に向き合うのか…
そういった合格するために必要な視点を、合格者から聞き出して自分の中で昇華することが、合格に向けた第一歩だと考えます。
私も、令和5年に不合格だった際には、2人の合格者に再現答案を評価してもらい、試験直前まで7回ほど答案を見てもらいながら、
短答式・論文式の勉強方法や解く時の思考等を、事細かに質問していました。
結果として、このような合格者の視点をトレースし、自分のなかに取り込むことが、司法試験合格に結びついたのだろうと思います。
また、目標を現実的な数値に設定することが、勉強の方向性を見誤らないために必要な事項であると思います。
上位を狙って、先進的な学説を論証に取り入れるなどといったことを防止することができますし、モチベーションの維持にもつながります。
個人的に、短答式は140点、論文式は500位を目指せば、本番で下振れを引いても合格ボーダー層には乗ると考えています。

4 基本書・参考書との向き合い方
初回の受験は主にメジャーな基本書をひと通り揃えて、1度目を通しましたが、
2度目の受験では、ほとんど出題趣旨・採点実感・予備校の模範答案・解説のみに力を入れて勉強していました。
「司法試験に合格する」という志しが高いのであれば、演習に際してはメジャーな基本書を1冊だけ手元に置いておき、出題趣旨等を見ても分からない事項があれば、調べるといった程度で十分だと思います。
 

2023年3月修了

(1)経歴
明治大学法学部を卒業後、明治大学大学院法務研究科(既習)を修了し、2度目のチャレンジで合格しました。
 
(2)和泉の法制研究所
和泉の法制研究所では、1年目に憲法・民法・刑法、2年目に商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法の基礎講義を受けました。
何よりも、同じキャンパス内で受講できることが強みだと思います。
他の予備校に通う同期は、移動のために時間が拘束され、交通費もかかる反面、私はギリギリまで前の時間の授業で、先生に質問したり、友人と一緒に話したりして、
法制研の授業に向かうことができたため、他の予備校に通う同期より、移動時間などを有効活用することができて、とても便利でした。
録画での倍速視聴や、まとめて視聴することも便利だと思いますが、生の授業に出て、聞き返さず、1度で理解するぞと意気込んで受ける方が、私には合っていたので、好みの問題かと思います。
授業の内容について、当時はひたすら受講するので精一杯で、しっかり理解できているか、分からないまま突き進んでいました。
しかし、最初はそれでよいと思います。合格までの学習を振り返れば、いくら質問して理解できなかった部分があったとしても、
他の分野や科目を学んだ後に取り組み直すと理解し、納得できたという経験がたくさんありました。
らせん階段のように、何度も何度も繰り返して理解度を高めていくというイメージで、取り組むべきだと思います。
一つの予備校に入塾し、同じ先生に初志貫徹して学ぶといった例外的な場合を除けば、学部・ロースクールで、科目ごと様々な先生から学びを得ることになると思います。
その意味では和泉での2年間、違うアプローチの方法で授業をされる別の先生に学ぶことができたという機会は、大きかったと思います。
現在、私が受講していた頃とは、担当の先生は変わってしまっているかもしれませんが、和泉の法制研に入って本当によかったなと思っております。

(3)短答式の勉強方法
年度ごとの過去問をコピーして、1科目の1年度分を実際に時間を計りながら問題を解き、
『短答過去問パーフェクト』(辰已法律研究所出版)(以下、「短パフェ」)を使って答え合わせをする。
そして、間違えた部分を何度も復習するという勉強を続けました。
短パフェの良いところは、巻末に年度ごとの問題番号が記載されており、答え合わせが便利な点と、
正答率が記載されているため「正答率の高い、間違えてはいけなかった問題」「正答率があまりに低い、間違えても差がつかない問題」の違いを知ることができる点です。
特に後者の正答率は、勉強の効率化にとても有効でした。
正答率20%以下の問題は、問題を見極めて必要と判断すれば、2度目に復習をする付箋をつけ、あまりに細かい知識や難しい問題と判断すれば、そもそも付箋をつけませんでした。
逆に、正答率80%以上の問題なのに間違えてしまったものはケアレスミスなのか、それとも基礎的な知識に漏れがあったのか等、不正解だった理由をしっかり研究しました。
私は、憲法の短答式が比較的得意だったため、勉強方法を深堀りしてお伝えします。
まず、人権の問題は判例の事案や判旨を、セットで理解しておく必要があります。
この部分は、憲法の論文式問題の対策とも重なるため、論文対策も意識して取り組みました。
使用教材は、『憲法の地図:条文と判例から学ぶ』(著:大島 義則/法律文化社出版です。
この教材には、条文ごとに判旨が抜粋して、掲載されています。
判旨のうち、憲法の地図の本文で言及のある個所は、論文に必要な部分であると考えマーカー、ほか短答式で問われた部分は下線と種類を分けて、マーキングしました。
事案の概要を見て、判旨を思い出しつつ、何度もマーキング済みの判旨を読み直しました。
これは判例の理解にとても役立ち、短答式・論文式どちらにも活きた勉強法でした。
 
(4)論文式の勉強方法
これは教授や諸先輩方など、誰もが言っていることですが、受験勉強に取り組む上で必須の教材は、本試験および予備試験の過去問です。
ひとつの過去問に対して、教授や予備校の講師の解説や、再現答案、など、いろいろな視点の合格答案を読んで、自身で書けるようになるまで、理解を深めます。
そして何より、司法試験委員会から、出題趣旨と採点実感が毎年出されていることも大きいです。
過去問以外の問題集をやるなら、少し壁が高いと感じても、過去問に取り組むべきだと思います。
そして、その過去問の勉強法は、ひたすら解いて添削してもらう。これに尽きると思います。
私はロースクール修了した後の期間も、週2回大学に通って、ランダムに出題される司法試験の過去問を解き、週1回提出した答案を、指導員の弁護士先生に添削してもらうというゼミに参加していました。
そのゼミには他に3人の学生で実施し、それぞれの答案を見せ合いながら、添削指導をしていただきました。
このゼミに参加することで、相対的な自分の実力面であったり、答案について再度、客観的な視点を得ることができました。
以上
 

2025年3月修了見込 K.Y

 1. 経歴
私は2023年3月に明治大学法学部を卒業し、4月から明治大学法科大学院に入学しました。
そして2024年11月、法科大学院在学中に司法試験に合格しました(1回目)。
学部3年生の4月から司法試験の勉強を始めたため、約3年半で合格したことになります。
 
2. 短答式の勉強方法について
・教材
 使用教材は短答パーフェクトです。短答式対策の教材は、いくつかあるかと思いますが、私は他の教材と比較したことはありません。
自分に合う教材を極めるという意識であれば、教材の種類は問わないと思います。
・勉強方法
 繰り返し何度も解くというシンプルな方法です。得意な科目・分野は2周程度、苦手な科目・分野は4、5周解きました。
本番を想定して、1問1、2分程度で解くことを意識しました。間違えた問題に関係する条文の素読、結論を導くための理由を、丁寧に確認しました。

3. 論文式の勉強方法について
・技術面
 論文式で要求される力は、①論点が分かる②論点が拾える③論点が書ける、の3STEPだと感じました。
自分が3STEPのうち、どの段階が出来ないのかを把握して、勉強することが重要だと思います。
 このうち、事前に準備しておくこと、すなわちインプットの必要があるのは①③の段階であると考えていました。
①の段階が出来ないのは、知識が足りないことを意味するので、基本書や百選を熟読し、定義、規範、規範を導くための趣旨、根拠を1つずつ丁寧に確認しました。
インプットの際には、六法で勉強している論点に関わる条文を読み、条文のどの文言の解釈の話をしているのかを確認しました。
 ③の段階は一見すると、事前に準備する段階でないとも思えます。しかし、各論点の処理パターン、検討ファクターは決まっているはずです。
本番で、いちいち問題になる論点の書き方を考えて、答案を作る時間はないので、自分の使う論証を確立させること(論証を導く理由も含めて何を検討するのかをしっかり理解しておく)、
検討手順に従って、自然と手が動くように答案の型を準備しておくことが、非常に重要だと感じました。
 ②の段階については、練習をしないと論点を知っていても、短時間で拾い切ることが出来ないと感じます。2時間を計り、緊張感を持って過去問演習を繰り返すことが必要です。
 加えて、多くの論点が散りばめられている論文を2時間で書き切るためには、メリハリのある論文を書かなければなりません。
 そこで私が意識したのは、①どこに点数が振られているのかを把握すること②書かないと差がつく論点、書かなくても差がつかない論点を見分けることの2点です。
 ①については、問題文で厚く事実が記載されている箇所や、典型論点を捻ったような応用論点の論述をする際には、必ず趣旨や根拠から記述し、丁寧に三段論法で答案を作ることを意識しました。
一方で、問題にならない論点はサラッと流す、時間が足りない場合は、当てはめと規範を混ぜる形で記載してしまうなど、メリハリをつけました。
 ②については、ある論点について周りの受験生が書いてくるのか、それとも誰も書けそうにないのかを判断することが、重要ということです。
高難易度の論点が出題された場合、そこに時間をかけても点数は入らないし、他の受験生も同様に点数が入るような回答は作れないので、差はつきません。
一方で多くの受験生が高い精度で書ける論点は、書き負ければグッと差がつきます。
そのため高難易度の論点は、必要以上に時間をかけず、悩んだ形跡を答案上に残すことを目標にし、
多くの受験生が書ける論点は、趣旨、規範、当てはめ、結論の流れを綺麗に示すことを意識しました。
論点の難易度が自分で判断できない場合は、ぶんせき本を読んだり、ロースクールに補助講師で来ている弁護士の方に確認して、相場感を理解しました。
・精神面
 論文の勉強で一番嫌だったのは、2時間を確保して解かないといけないことと、明確な答えが無いことでした。
過去問のほぼ全ての年度を複数回解き、2時間の感覚や、自信を持って論述をするという意識を養いましたが、この作業は完全に根性で乗り切りました。
 また論文は添削を受けることが必須ですが、出来ないところを人に晒すのは恥ずかしいし、添削を受けるたびに大量の赤が入った答案が返却されると、心が折れそうになりました。
慣れるまではとても辛かったですが、不合格になる方がもっと辛いと言い聞かせて乗り越えました。
また赤が入るほど、合格に近づくチャンスをもらえたと前向きに考えることで、添削を受け続けることができました。
 
4. その他
 早期合格を目指す上で、時間にはシビアでした。
 まず、自分の課題を把握して、いつまでに何をどれだけやるのかを短期目標、長期目標に分けて、スケジュールを立てました。
新たな課題が見つかるので、頻繁にスケジュールは更新しました。
 次に、勉強時間を確保しました。ロースクールに進学してから司法試験までの1年半は、平日7時半に登校、21時前に下校し、土日は9~10時に登校、20時半に下校というスケジュールを継続しました。
 最後に、勉強以外の時間を削りました。YouTubeやSNSはアプリを消し、学校にいる間はスマホをロッカーに閉じ込めました。
また1年半はイベントや友人等との時間は厳しく制限しました。早期合格をするためには、何より勉強最優先で生活を送ることが大事だと思います。
 

2023年3月修了 R.I

 1. はじめに
 私は司法試験に2回目で合格しました。この合格体験記を書くにあたって、1回目から2回目までの勉強についてまとめました。
自分自身、理解力が低い上に集中することも苦手で、身体的・精神的負荷の高い勉強はできないタイプだったので、同じような方に少しでも参考になれば幸いです。
徹底して勉強のハードルを下げることに注力しました。

2. 使用書籍
・憲法:『基本憲法』(著:木下智史,伊藤建/出版社:日本評論社)、『判例百選』(編:長谷部恭男 他/出版社:有斐閣)
・行政法:『基本行政法』(著:中原茂樹/出版社:日本評論社)、『行政法ガール1,2』(著:大島義則/出版社:法律文化社)
・民法:『判例百選』(編:潮見佳男 他/出版社:有斐閣)
・商法:『会社法』(著:田中亘/出版社:東京大学出版会)、『判例百選』(編:神作裕之 他/出版社:有斐閣)、『アガルート合格論証集』(著:アガルートアカデミー/出版社:サンクチュアリ出版)
・民訴:『民事訴訟法』(著:瀬木比呂志/出版社:日本評論社)、『判例百選』(編:高田裕成 他/出版社:有斐閣)、『アガルート合格論証集』(著:アガルートアカデミー/出版社:サンクチュアリ出版)
・刑法:『基本刑法Ⅰ・Ⅱ』(著:大塚裕史 他出版社:日本評論社)、『アガルート合格論証集』(著:アガルートアカデミー/出版社:サンクチュアリ出版)
・刑訴:『基本刑事訴訟法Ⅱ 論点理解編』(著:吉開多一 他/出版社:日本評論社)、『アガルート合格論証集』(著:アガルートアカデミー/出版社:サンクチュアリ出版)
・労働法:『労働法』(著:水町勇一郎/出版社:有斐閣)、『労働判例百選』(編:村中孝史 他/出版社:有斐閣)、『1冊だけで労働法』(著・出版社:辰已法律研究所)
・その他:『論文過去問答案パーフェクトぶんせき本』(著・出版:辰已法律研究所)
 
3. 短答式試験について
 短答式試験対策は『短答過去問パーフェクト』(著・出版:辰已法律研究所)と『択一六法』(著・出版社:東京リーガルマインド)を使いました。
1周目は答えを見ながら読み、2周目から実際に解き始めました。2周目で間違えた問題に付箋を貼り、3周目は付箋のついたもののみを解きました。
正解したら付箋を外し、不正解であればつけたままにしました。また、外した付箋は裏表紙に貼っていました。
このようにすることで、これから取り組む量と、これまでやってきた量を可視化することができました。
4周目以降になったら、問題文の余白部分にヒントを書き込むなど、何回も間違えた問題に、再び取り組む心理的ハードルを下げました。
それから、TKCの択一模試を定期的に受けていたので、模試をペースメーカーにしつつ、模試の過去問も短答過去問パーフェクトと同様に周回しました。
 
4. 論文式試験について
 論文式試験対策は、いわゆるぶんせき本と法務研の指導ゼミを活用し、仕上げとして『アガルート合格論証集』を全部覚えました。
 過去問の勉強の仕方は、①ぶんせき本の論点解説を読む②ぶんせき本の事案解説を読む③実際に過去問を読んでみる④ぶんせき本の参考答案やA答案のどちらかを書き写す、というやり方です。
過去に出題された問題について、処理手順や論証を持っておく必要があると思いました。
しかし、自分で処理手順や論証を作ることはできなかったので、参考答案や論証集を見て、試験本番、本当にこの処理手順や論証でよいのかを、指導ゼミで確認してもらい、
年度ごとの処理手順や論証をまとめ、覚えました。
時間を計って解いたり、自分で過去問を解くと疲れる上に、精神的にも負荷がかかるので、毎日できるように工夫して、負荷を下げました。
答案用紙にはできるだけ本番に近い、上質な紙質のものを使用してモチベーションをあげたり、その日の気分によってペンを変える等して、飽きが来ないようにしました。
 
5.1年の勉強スケジュールについて
7月~11月:択一の勉強のみ
12月~5月:主に過去問演習
6月:論証、定義の暗記、択一
7月本番直前:暗記の総復習と択一
 
択一は論文式の勉強を本格的に始める前に、ある程度仕上げておきたかったので、11月までは択一の勉強のみを行いました。
目安としては、11月のTKC択一模試で合計120点を目標にしていました。12月~5月までは上記の方法で、毎日過去問を書きました。
毎日といっても、ほぼ書き写す作業なので、負荷は軽かったです。
6月上旬にアガルートの合格論証集を購入し毎日少しずつ覚え、7月に入ってからは、暗記したものを忘れないように復習し、択一も最後の確認を行いました。
 
6.1日の勉強スケジュールについて
 ・9:00~10:30 電車で択一の勉強
 ・11:00~13:00 基本書読み込み
 ・13:00~14:00 昼食
 ・14:00~18:00 過去問参考答案書き写し
 ・18:00~18:40 休憩
 ・18:40~19:30 今日の復習、明日の勉強の準備(印刷等)
 ・19:30~21:00 電車で択一の勉強
 
 12月~5月まではこれを毎日繰り返しました。家が遠く電車の時間が長かったので、択一の勉強にあてました。
基本書は上にあげたものを繰り返し読みました。読み込んで理解する作業は3週くらいで終わったので、あとはそのページに、何が書いてあったかを1ページごとに確認しながら読みました。
最終的には1日で1冊通読できるようになったと思います。
過去問のやり方は上に書いた通りです。ゆっくり丁寧に書いて、最後に処理手順や論証をまとめたものを作成することを心掛けました。
 
7.最後に
試験直前(たぶん6月くらい)から追い込みをかけられるかで、合否は大きく変わると思っています。
そして、追い込みは事前に準備していないとできないと考えています。そのため、6月までは追い込み準備期間として、ある程度気楽に勉強することをおすすめします。
メンタルの安定を最優先に、適度に頑張ってください。応援しています。