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黒耀石研究センター

【ニュース】黒耀石研究センターに蛍光X線分析装置が設置されました

2010年12月13日
明治大学

本年9月に蛍光X線分析装置が設置されました。

蛍光X線分析装置は分析試料にX線を照射することによって、試料の中にどのような元素がどのくらい入っているかといった元素情報を明らかにすることができます。また、考古遺物のような他に代わるもののない貴重な分析対象でも破壊することなく分析することができます。

黒曜石は、地中で生じた液状のマグマが地上に噴出、あるいは地下の浅い場所で急速に固まってできた火成岩です。マグマは発生した場所によって化学組成が異なっていますが、さらに液状のマグマが固まるときにも、その時の温度や加わった圧力などの条件の違いによって化学組成が異なった黒曜石が生成されます。結果として黒曜石は多くの場合、それぞれの原産地の間で化学組成に細かな差異が認められます。

こうした化学組成の違いを蛍光X線分析装置を用いて測定することによって、各遺跡から出土した黒曜石がどこの原産地のものなのかを推定することが出来ます。原産地推定の結果を基に、黒曜石がどこから運ばれてきたのかを明らかにするだけでなく、先史時代における黒曜石原産地の開発や流通などといった、当時の社会に迫る研究が進められています。

当センターがある長野県は大規模な黒曜石原産地を多数有していますが、これまで黒曜石の産地推定分析を行うことができる施設がありませんでした。本格的な分析の開始は次年度以降となる予定ですが、今後の分析の進展によって黒曜石原産地およびその近傍における黒曜石利用の実態が解明されることが期待されます。

今回設置された装置については、今年度中に基本的な産出地原石試料の測定とデータ化を可能な限り進め、次年度以降の本格稼動に向けて準備します。装置の詳細などについては、改めて公開する予定です。